■ゴールは2人で決めるもの
こうして無事に双方の家族の許しを得て、結婚することができた2人。その後の変化や新たな発見について、うかがってみました。
「彼女のほうは、きちんと籍を入れたのでやはり安心したみたいです。
僕のほうは、中国のニュースをやっていると自然に目が行くし、中国の出来事にはやはり関心を持つようになったと思います。2008年のオリンピックが北京に決まったときも、すごくうれしかったし……。
実はあの瞬間、北京にいたんですよ! 僕らも一緒にワアーッて外に飛び出して行って、みんなが爆竹でお祝いしているのに参加したりして。そういうのはうれしかったですねえ」
「あと、日本にマンションを買う気にならなくなりました。買っちゃったらこっちにいなきゃならないですよね。でも、かといって北京に買うってことも思いつかないし、香港に買ってもいいかなんて、急に行動範囲が広がったような気がしました。どこに行っても住めるような……」
うん、分かります、この感覚。海の向こうにも家族と親戚ができて、その国が自分の故郷と同じように身近に感じられる……。距離感は縮まったけど、地図上の行動範囲はすごく広がっているんですよね。
最後にとてもステキな言葉で締めくくって下さいました。
「そんなことが目に見えてきたのと同時に感じたのは、答えがないっていうか……。答えというより、ゴールといったほうが近いかな。
なんとなく世の中の風潮で、日本ではみんなマイホームの夢を追いかけて、自分の家を持つのが1つのゴールみたいになっていますよね。でも、僕たちのような2人にとってはそうじゃない。住む国すらまだ分からないし……。"ゴールは何か"ってほんとに自分たちで決めないと、周りで誰もそういうゴールを見せてくれないですから。
でも、その "先の見えなさ感" がイヤじゃないんですよ。たぶん好き。好きじゃないと国際結婚はできないかもしれない。
これから2人でゴールをつくっていくんだなということを、今すごく実感しています」
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