1月の訪問で感触がよかったため、少し余裕が出てきたBさんですが、それでも核心に触れるときは、言葉が震えるほど緊張したそうです。
さて、どのように切り出したのでしょうか?
私「日本的に言うと『お嬢さんをください』とか『お嬢さんと結婚させてください』になると思うのですが、中国では何と言うんですか?」
Bさん「直訳すると『私と○○(彼女の名前)さんの結婚に同意をしていただきたいと思っています』のように言いました。ドンイーという、つまり同意という言葉を使いました」
私「で、お父さんの反応は?」
Bさん「危機管理はどうするのか?というようなことを聞かれました」
私「えっ、危機管理!?(政治家か管理職への質問みたい……)」
Bさん「そう、要するに、お互いの国と国との間に将来問題が起こることも考えられる、ということですね。日本人はあまりそういうふうに考えないけれど、中国の人は日本と戦争があってもおかしくないと思っているんです。日本だけでなく、どこの国と戦争があってもおかしくない、と。だから本気で聞かれましたね」
私「それで、どうお答えになったんですか?」
Bさん「そのとき、僕の口をついて出たのは『第三国で生活できる能力を、僕も彼女も身につけることがいちばん大事だと思います』ということでした。片方の国にいると、どっちもつらいだろうから、たとえば日中戦争が起きたらアメリカに行こう、とか。一応その答えには満足してくれたみたいです」
たしかにとても納得させられるコメントです。とっさにこんな答えが出てくるなんて、すごい!
Bさん「あとは『2人が育った文化や環境は違うのだから、お互い認め合ってやっていきなさい』という訓示に近いお話をいただきました。それと、夫婦が一緒にやっていくうえでは、経済的なこと、つまりお金の話は絶対にクリアにしておかなければならない、とかね。そういう人生論みたいなことをいくつかお話ししてくれました。お母さんは横でずっとにこやかにしていましたね」
そうですか~。なんか一件落着って感じで、よかったよかった。
おそらく想定していたうちの"最もいい状態"に近かったのではないでしょうか?
ところで、Bさんのご家族は?
「僕の親のほうへは、プロポーズする2カ月くらい前に連れてって、両方の顔色を見たりしてたんです。まあ親のほうはなんとなく感づいていましたけどね。法事に連れて行ったので、親戚の人たちにもいっぺんに会うことになったけど、それで認めてくれた形になりました」