さあ、いよいよ彼女のご両親への挨拶です。
■情報収集と綿密な準備
私「どんなふうに準備を進めていったのですか?」
Bさん「まずは情報収集をしなければならないと思いましたが、その前にいろいろ考えてしまって……。彼女のお姉さんはアメリカ人と結婚して日本に住んでいるので、ご両親としては彼女にはずっとそばにいてもらいたいと思っているんじゃないか、とか、日本という国に対してはどう思っているのか、とか。
それと、彼女はつきあっている人のことを親にはあまり話さないほうなんです。だからご両親はほとんど僕のことを知らないだろうから、突然だとビックリするかもしれない、いきなり行ったらダメだろうな、と……。しかもお父さんは大学教授で、僕がいちばん苦手とするタイプ……」
Bさんがあれこれ思い悩む様子が、目に浮かぶようですねえ。
Bさん「今はお2人ともいい人だと分かっていて親しくなっているから、こうして話していてもあまり緊張感が伝わらないと思うけど、行く前はもうホントに大変でした。最悪の事態とうまくいった時と、両方の状況を想定するのですが、その幅があり過ぎて……(苦笑)。だから行く前はものすごく緊張もしたし、綿密に準備をしなければと、かなりの覚悟でいました」
幸い、この件では先輩であるお姉さんのダンナさんがいろいろアドバイスしてくれたそうです。「僕の時はこういう手順を踏んだ」とか「親戚の人の心のつかみ方」とか……。
Bさん「彼自身のときは情報をくれる諜報部員がいなかったから(笑)、ブッツケ本番に近い状態だったようです。でも彼はすごくできる人なので、たぶんそんなに問題はなかったのでしょうね」
自分の場合はそううまくはいかないだろうとふんだBさん、お姉さんからも情報を得ます。いろいろ聞いていくうちに「いきなりはまずいだろう」「2回に分けたほうがいいようだ」などと、だんだんプランが固まってきました。
“強硬に反対される”という最悪の事態になった場合は後が長引くだろうから、できるだけ早い時期に1回目の訪問をしておいたほうがいいと考えました。
しかしここでちょっと問題が……。
優秀なコンピュータ系ビジネスマンであるBさんは、ちょうどその頃、仕事でかなり大きなプロジェクトに関わっており、ご挨拶に行こうと考えた時期と、その立ち上げの時期が見事に重なっていたのです。
人生の一大事と仕事との兼ね合い、ムズカシイところです。