夕方6時頃からゲストが訪れ始めます。既にツリーや暖炉のまわりには、贈られる人別にプレゼントがまとめてあるので、挨拶がすむと、そこに自分が持ってきたプレゼントも置いておきます。
全員が集まったら照明を暗くし、静かな賛美歌を流すところからクリスマスのお祝いがスタート。みんな思い思いの場所に座って、しばし美しい歌声に耳を傾けます。
音楽が終わると、プレゼント・オープン・タイム! この時は打って変わってワイワイガヤガヤ大騒ぎ。子供たちだけでなく、大人もうれしい瞬間ですよね。
この時、まわりの人にもウケるプレゼントを選ぶと、ちょいと自慢になります。ちなみに去年ウケたのは、両親への『アリー・マイ・ラブ』グッズ(ヨーロッパでも放送され、大人気なのです)と、ユーモアの分かる伯母さんに贈った五味太郎さんの“動物のオナラの絵本(英語版)”。いずれもバンクーバーから買っていきました。
盛り上がりが一段落したら、いよいよディナーに。進行役の義父によるワインの乾杯から始まりますが、私がいるので全員スイス・ジャーマンではなく英語を話してくれます(うちの実家じゃあ、とてもそんな芸当はできない)。お料理は各自好きなだけ取り分けるビュッフェ・スタイル。宴もたけなわになる頃には、もうこれ以上入りませ~ん!ってほど、おなかがいっぱいに……。子供たちは、もうとっくにテーブルを離れ、プレゼントのおもちゃで夢中になって遊んでいます。
ところで、子供たちが大好きなサンタさんですが、スイスではクリスマスより早く来ます。12月6日が「サンタクロースの日」なんですって。そして、意外なことに、決して優しいおじいさんではないのです。外見はおなじみの赤い衣装に白いひげなのですが……。
サンタさんは子供たちのことを何でも知っていて、その年「よい子」だった子にはチョコレートやクッキーをくれるのですが、「悪い子」だった場合は、持っているスティックでお尻をペンペンされてしまうのですって。さらに「すごく悪い子」だと、あの袋に入れられちゃうんですって(えーっ!? 用途が全然違う!)。だからみんな「もうしません。いい子になります!」って約束するのだそうです。
種をあかせば、サンタはお友達のお父さんで、彼のお父さんが今度はお友達の家に行って、同じことをするらしいのです。子供の情報は、あらかじめお互いに伝え合っているわけ。
そうとは知らない子供たち。だから彼は、子供の頃、サンタクロースがとっても恐かったんですって。信じられないでしょ!?
そんなわけで、クリスマスにはもうサンタクロースは登場しません。本当に家族だけでお祝いをする日なのです。
シャウウェッカー家のクリスマスの夜は、毎年こんなふうにふけていきます。