大阪グルメ/大阪のフレンチ

ル・クロ・ド・クロ(大阪・心斎橋)(3ページ目)

07年7月にリニューアル。フレンチファンは愛すべき名店であり、フレンチファンでない方はファンになってしまう名店「ル・クロ・ド・クロ」。その魅力は、オーナーシェフの料理哲学とホスピタリティにあります。

執筆者:渡部 功平

定番料理といえばコレ、のコース後半


・肉料理:鴨のコンフィ、黒米のバターライス

こちらの名物とも言える、鍋に乗って出てくるメイン料理。家庭的な雰囲気に、優しさを感じる演出です。今回は定番の鴨のコンフィをご紹介。鴨自体の脂をかけながら煮る伝統的な保存法であるコンフィ。こう書くと、一見油っぽいように見えますが、2回火を通すことで余分な油を落としていますので意外とヘルシー。こちらはコレステロールがゼロの、クルミオイルでソテーしているため、健康にもしっかり配慮された料理です。

この日の付け合せには加賀野菜の加賀蓮根やにゅるっとした食感が面白いみずの実、さらには穂ジソを添え、ただのコンフィに留まらず、食感・香りにちょっとした遊び心があります。

・デザート:栗のケーキ

下からくるみのビスキュイ、ガナッシュ、栗のバタークリーム、栗のムースという重層構造になっており、フォークの入れ方によって味の変化が楽しめます。添えられたシャーベットは、フロマージュブランと蜂蜜のもの。フロマージュブランの酸味が心地よく、蜂蜜でコクを加え、栗のケーキを最後までおいしくいただけます。

「ル・クロ」グループの店では、それぞれのシェフが黒岩オーナーシェフの考え方を継承しつつ、それぞれが個性を発揮しており、こちらの「クロ・ド・クロ」で料理を担当されている吉岡シェフは特に「香り」をとても大事にされています。シェフは「料理の過程で、素材の香りが変わる瞬間、それを見極めることがおいしい料理につながると思います」とのことで、その考え方は魚の酸味のソースの絶妙な加減だったり、鴨肉と穂ジソのコンビネーションなどに顕著に表れています。

「料理はおいしいだけでは駄目なんです」

また、黒岩氏の料理スピリッツ、「多くの人に楽しんでもらいたい。そのためにはただ美味しいだけでは駄目」から、それぞれの料理は軽薄な演出や難解な料理はありません。食材の合わせ方などにはしっかりと工夫していますが、料理の根幹の部分は伝統的あるいは正統派の体をなしており、おいしいと同時に「わかりやすさ」を持っています。

「料理はおいしいだけでは駄目」と語る黒岩オーナーシェフ
「常連のお客様や、もう好みがわかっているお客様でしたら、ジビエや変わった食材などもこちらから提案しますが、初めてのお客様には『フレンチって楽しい』と思っていただきたいんです。だから、どんな方でもわかりやすく、それでいて美味しい料理をお出ししたいと考えています」というオーナー。

フレンチ好きな僕は、この「わかりやすさ」が好きです。珍しい食材を使って真新しい料理を作リ出す店も、それはそれで確かにスゴイ。しかし、リーズナブルな価格で、しっかりとした料理、くつろげるサービスを提供している店はもっと凄いと思うのです。門戸の広いフレンチは、派手さはなくとも着実にフランス料理ファンを増やしています。僕のようなフレンチ好きにとって、それはフレンチ仲間を増やしてくれているということ。何とも嬉しいじゃぁないですか。

この「ル・クロ・ド・クロ」は、フレンチファンなればこそ愛すべき名店であると同時に、フレンチ好きでない方でもフレンチファンにしてしまう、大きな魅力を持った店なのです。

<店データ>
■「ル・クロ・ド・クロ
所在地:大阪市中央区東心斎橋1-17-9
TEL: 06-6244-9696
定休日:月曜
営業時間:昼 11:30~14:00(ラストオーダー)
      夜 18:00~22:00(ラストオーダー)
交通・アクセス:地下鉄心斎橋駅から徒歩3分
地図:Yahoo!地図情報

HP:ル・クロ
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※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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