日本橋界隈の古いビルは、魅力的な空間の集合体
拙著『カフェとうつわの旅~あたらしい和のかたち』の中でご紹介した馬喰町ART+EATは、かつて繊維問屋街として栄えた町の古いビルの一室にある美しいギャラリーカフェです。
1960年竣工の建物の名前は、アガタ竹澤(タケザワ)ビル。階段や吹き抜けの意匠、現在では製造されていない亀甲網型ガラスが嵌った窓などに、昭和の記憶がひっそりと息づいています。
同じ建物の一角にはFOIL Galleryが入居し、3階まで上がると楽しげなドイツ輸入雑貨でいっぱいのMARKTE(マルクト)が迎えてくれます。1階にはTARO NASU GALLERY(タロウナスギャラリー)がオープン。
アガタ竹澤ビルはレトロな外観はそのままに、アート、雑貨、そしてカフェに関心を抱く人間にとって非常に魅力的な建物へと変貌を遂げているのです。
今回の記事では、その2階の広々とした一室にご案内しますね。
馬喰町ART+EAT
清浄な乳白色の光をほんのり浮かべた空間には、幾重にも出会いがちりばめられています。たとえば、この場所を訪れた人が数々のアートに出会えるのはもちろんのこと、大きな木のテーブルの上では小野哲平さんが作ったうつわと、旬の野菜の彩りが輝くすばらしいレバノン料理が出会い、その幸福な一皿を介して人と人の笑顔が出会っているのです。
馬喰町ART+EATオーナーの武眞理子さんがアート&クラフト&フードをテーマに掲げ、ダイニングテーブルのあるギャラリーをオープンさせたのは、日々ほんとうに美しいものとはなにかを問いかける場所を作りたいとの想いから。 その場所には、生の根源にある「食」の要素が不可欠だったのです。 ▼メニューは田園調布「パテ屋」の林のり子さんと料理研究家・小川美穂さんの監修 |