益子から大阪へ=里山から下町へ 

カフェやアートを愛する人々のあいだで、憧れと敬意をこめて語られてきた名前があります。益子のスターネット。

栃木県益子の力強い土は、長年にわたって豊かな田畑の実りと日用に愛される素朴な焼きものを育んできました。そこに自分の本当の居場所を求め、東京でのキャリアを捨てて移り住んだのがスターネットのオーナー、馬場浩史さん。
2011年4月、待望のstarnet大阪がオープンしました。

2011年4月、待望のstarnet大阪がオープンしました。

たちこめる緑と土の匂いのなかで、馬場さんは衣食住のありかたを問いなおし、スターネットと名づけたカフェやギャラリー、ショップや音楽ホールなどの場所を、手ざわりを確かめながら築いていきます。精練され、透明に澄んでいく空間や作品の美しさと、里山の土くさい息吹き。その稀有な交わり。

やがてスターネットは静かな里山に横たわる星座のような存在となり、全国の人々を益子に惹きつける輝きを放つようになったのです。

3月11日、震災と原発事故がすべてを変えて 

starnet大阪のカフェは二階の一室に設けられました。

starnet大阪のカフェは二階の一室に設けられました。

2011年2月、東京・馬喰町の問屋街に「スターネット東京」が誕生します。カフェはありませんが、益子のスターネット工房「art workers studio」でつくられた陶器や、草木で染めたふわりと風をはらむ天然素材の洋服、みずみずしい無農薬野菜、益子でイタリア人パン職人が焼きあげる伝統の薪窯焼きパン、素材を厳選した焼き菓子などが並び、日々お客さまを迎えています。

カフェには益子のスターネットから運ばれた家具が静かに並んでいます。

カフェには益子のスターネットから運ばれた家具が静かに並んでいます。

それはスターネットに惹かれていてもなかなか益子まで足をのばす機会のない人々が、スターネットならではのものづくりと出会える魅力的な場所でした。
関西にももうひとつ、そんな場所を持てたら——馬場さんたちがそんなことを考えはじめたときに、あの大地震が益子をも揺さぶったのです。

▼東日本大震災が益子にもたらした影響は?