馬喰町ART+EATの店内写真

武眞理子さんにこのビルに出会った経緯をうかがったときに、家守(やもり)という言葉を初めて知りました。
江戸時代には家守という職業があり、たとえば豆腐屋の隣には桶屋を配置するなどという長屋全体のコーディネートや、店子への支援をおこなったそうです。
現代の老朽化した大型ビルをリノベーションする際にも、家守のような存在が必要とされているのかもしれません。

馬喰町ART+EATの店内写真

木を繕った家具の表情

ギャラリーに並ぶ家具は、地球上のどことも知れない村の教会というイメージを託して木工家の井藤昌志さんに依頼したもの。
「森の粗末な教会のような場所にも人々は集まり、歌ったり祈ったりするでしょう?」と武さん。

井藤さんが飛騨の伝統的な木工技術を駆使して生みだした家具たちは、古材に新材を継ぎあわせた味わいぶかい質感と独特のフォルムが魅力です。
サントリーのウィスキー工場で役目を終えた棚板や、ウィスキー樽の丸い木枠、古い寺院の床板などが新しい木材と組みあわされ、椅子やテーブルとして第二の生命を得ています。

はじめて私が馬喰町ART+EATを訪れたのは雨降りの日でしたが、椅子たちがかつて森の中で1本の樹として雨粒を受けていた記憶を思い出しながら、雨音にしずかに耳を傾けている、そんな気配をふと感じたものです。
馬喰町ART+EATの店内写真

▼うつわを繕う