カフェ/カフェの関連情報

『本のお茶-カフェスタイル・岡倉天心』(5ページ目)

喫茶時間をより深く味わうための一冊をご紹介します。岡倉天心の名著『茶の本』に現代のカフェのスパイスを加えて表現したヴィジュアルブック。百年の歳月を越えてなお、天心の言葉は刺激的な洞察に満ちています。

川口 葉子

川口 葉子

カフェ ガイド

ライター、喫茶写真家。著書に『東京カフェ散歩 観光と日常』『京都カフェ散歩 喫茶都市をめぐる』(祥伝社)、『街角にパンとコーヒー』『東京の喫茶店 琥珀色のしずく77滴』(実業之日本社)他多数。雑誌、Web等でカフェやコーヒー特集の監修、記事執筆多数。Webサイト『東京カフェマニア』主宰。

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茶人たちの足跡

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【『本のお茶』 コラム『茶話7』より】

 足しげく通っていたカフェが、なんの前ぶれもなしに、いつのまにかふっと姿を消してしまっていた--その驚きとさびしさを経験したことのあるひとは、決して少なくはないでしょう。

 いまや都市の新陳代謝はついていけないほど速く、あらゆるお店が短いサイクルの中で現れてはたちまち消え去っていきます。看板が取りはずされて一ヶ月も過ぎれば、もはやだれもそんなお店があったことさえ覚えていないかもしれません。
 街角のカフェで過ごす習慣を愛する者は、胸のどこかに、この変化そのものが世界の真実の姿なのだという覚悟を抱いていなければならないのです。

 だからといって世界をむなしいものとせず、永遠ではないからこそ、今日というつかのまの一期一会を慈しもうとする心。岡倉天心が『茶の本』で示してくれた偉大な茶人たちの覚悟は、いまを生きる私たちに静かな、しかし確実な力をもって迫ってくるように思えます。…後略…

(文・川口葉子/写真・藤田一咲)

興味を持たれたら、ぜひ手にとってみてください。じつはこの本、“カフェオレボウルを両手で包みこむような”感触をめざして作られているのです。一冊の小さな本の重さを手のひらに感じる喜びを、内容とあわせてお楽しみいただけましたら幸いです。

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