細部までこだわった居心地のよさ
norsk cafeを手がけたのはデザイン設計事務所norsk(のるすく)。店内に並んでいる、手のひらに快いしなやかさと美しい光沢を持つ木の家具に、どこか記憶を刺激される……と思ったら三軒茶屋のCAFE MAMEHICOのデザインもnorskによるものでした。
ナラ、カエデ、クルミ、ウォールナット、メープルなど、広葉樹の無垢材で作られたこれらの家具の大きな魅力は、時間とともにさらに味わいが深まっていくこと。1本の樹木が成長を続けてきた長い歳月と同じくらいに、ひとつの大きなテーブルに変身したのちも、長い年月を生きていくのです。
ゆったりくつろげるボックスシートのテーブルには、片隅に灰皿。その真上小さなにシェル型のフード(写真右)が設置されていますが、これは気になるタバコの煙をすみやかに排出してくれるスマートな排煙のくふうなのです。
下の写真で一見ふたつのスペースを区切るパーティション、あるいはカーテンのように見えているのは、水を循環させる放射冷暖房システム。音がしないうえ、肌に直接エアコンの風が当たらないのでたいへん快適。うっかり冷房の吹きだし口の真下に座ってしまって、あわてて席を移動するなどという心配がありません。
たっぷり余裕をもたせたスペースづかいと、快適な居心地のためのさまざまな配慮。そしてスタッフの丁寧な応対。きらびやかな贅沢さよりも、こういう優しい贅沢さのほうに心がひかれるものですね。
「いずれは、ご近所のおじいちゃんが朝ひとりでやって来て、くつろぎながらコーヒーが飲めたり、深夜に職場から戻ってきたサラリーマンが、店内のバーで1杯飲んでから家に戻れる、そんなお店になれたらと思います」
とシェフの元吉一郎さん。次のページでランチとディナーをご紹介しましょう。