60~70代にも、若い人々にも愛される屋上のように
「若い頃にさんざん遊んだから、いま働いているの」とおっしゃるチャーミングなおばあちゃんは音楽スタジオの経営者。眉間にピアスをしたスタッフにむかって、かっこいいわねと誉めることを忘れません。
また、Roofがオープンする前、スタッフの手でこつこつと内装が仕上げられていく様子をのぞいて「何つくっているの?」と声をかけてきた60代の男性は、Roofのオープン後はなんと1日に2度もお店を訪れる(!)常連客に。
「お見えにならない日は、ご病気ではないかと心配になります」と笑う右高さん(写真右下)によれば、音楽評論家であるその男性、ただならぬオーラを放っているそう。
Roofが幅広い年代の人々に愛用されているのは、この空間がまるで近所にあって誰でも気軽にのぼれる屋上のような、自由な使い心地のよさを持っているせいかもしれません。しかもここには、どちらかといえば仏頂面をした屋上警備員のかわりに、親切で礼儀正しいスタッフが迎えてくれるのです。
「中途半端なお店にはしたくないので、長く続けていくにはどうすればいいかを日々考えています」
そう話してくれた右高さんご自身も、学生時代から喫茶店とアートとの組み合わせを愛し、今はなき伝説の名店「青蛾」に心ひかれたり、名店…と申しましょうか、怪伝説満載の名曲喫茶「クラシック」の世界にしたしんだりしてきたそう。
コーヒーを飲みながらカフェで過ごす喜びを知っているひとがつくる空間は、同じ喜びを知る者に大きな安心感を与えてくれます。