小さな驚きを伝えるために
DADA CAFEの2階は、オーナーの田村さんが主宰するデザイン事務所のオフィス。なぜカフェを作ろうと思われたのですか、と田村さんに尋ねてみました。「つねづね、建築・インテリアデザイン事務所の仕事のニュアンスを伝えるのは難しいと感じていたのです。いい仕事をするにはお客さまと作り手との相性も大切な要素。こちらが作るもののテイストを伝え、スタイルを体感していただけるようなカフェを作りたいと、ずっと思ってきました」
希望通りの路地裏の古い物件は、1年半かかってようやくみつけることができたといいます。
「こんなところに、こんなものがあるという驚きを、訪れる人々に楽しんでいただきたいですね」
えんがわと庭の愉しみ
カフェのテーブルには、みずみずしい緑の葉をつけた小さな盆栽が飾られています。これらはスタッフが、東京カフェスタイルのルーツのひとつである那須のSHOZO CAFEの裏手にある盆栽店でみつけ、毎日話しかけるようにして世話をしているもの。SHOZO CAFEのエッセンスがここにも、と思うと不思議な気持ちになります。自分たちで土を掘り返して土壌を作るところからスタートした庭の草木は、お客さまも成長を楽しみにしています。花々に混じって、野菜やハーブも植えられています。今はまだ小さな桜の木も、いつかは2階の窓辺にまで満開の花を届かせてくれることでしょう。
お昼どきには庭に出したテーブルでランチを楽しむ人々の姿が見られます。 また、そんな光景を陽当たりの良いえんがわから眺めるのも、昔ふうの一軒家ならではの大きな喜び。夏の宵の夕涼み、冬の昼さがりの日なたぼっこなど、室内と外を結ぶえんがわという場所だからこそ、季節感を満喫できるのですよね。