シュクルのオーナー、大川奈美さんは代官山の有名ワッフル専門カフェのマネージャーをつとめていた女性。いずれは自分一人でお店を経営したいとの夢を実現させ、2005年秋、フランス語で砂糖の意味を持つシュクルを開きました。週に2日だけアルバイトの専門学校生がお店を手伝いにやって来ますが、基本は大川さん一人。朝7時30分から夕方まで、ひたすら焼き菓子を作り続けます。
「好きでなければできない仕事ですね(笑)」
一人で町の人々の生活に密着したお店をやりたかったから、雰囲気の良いこの住宅街を選んだという大川さん。お話をうかがっている間にも、近くのフラワーショップのスタッフがやってきて「社長が今日、お誕生日なのでメッセージ入りのチーズケーキをホールで…」と相談しています。前の日に電話で予約しておけばスムーズだったはずのリクエストですが、直前では少し無理があるでしょう。でも、大川さんは笑顔で対応。
「何時までに必要ですか? 1時間後なら大丈夫ですよ。ロウソクもお付けできます。何本?」
そして見事に、チョコレートで社長の名前を書いた焼きたてのチーズケーキが誕生。約束の時間に再び訪れたお客さまに笑顔がひろがりました。