テレビ塔を見上げるバルコニーで
「この空間を見てからインテリアを考えました。公園の近くで場所を探していたのです。陽の当たるバルコニーを一見して住みたいと思い、テーマを<家>に設定しました」とオーナー。ウッドデッキのテラスに出てみると、右手に思いがけない存在感でテレビ塔がそびえ立っていました。 こんな気持ちのいい<屋上感>を満喫できるテラスは、ビルの建ち並ぶ都心の裏通りならではの密かな楽しみ。 寒くても暑くても、昼でも夜でも、風に吹かれて街のもうひとつの貌を眺めたり、雲と話したりしながら、ここでコーヒーを飲んでいたい。そう思いました。
厚みのある良い音を響かせるのは英国タンノイ社の巨大スピーカー(写真下左・1組120万円!) ジャズからクラシックまで幅広い音域に対応して美しい音響を聴かせてくれるのが選択の基準だったそうですが、オーナーは「知人のオーディオ屋に探してもらったもので、タンノイでなければと思って探したわけではありません」
店名のMINGUSも言わずもがなのジャズ界の巨人ベーシスト、チャールズ・ミンガスに由来するものですが、「もちろんミンガスは好きですが、店名にはMとSと濁点の入る言葉がいいなと思って選んだのです」
こだわりとゆるさの絶妙なバランス。それこそが、この空気感の魅力の正体なのかもしれません。とはいえ、一杯ずつネルドリップするコーヒーと、お店のありかたに対する考えには、しっかりと筋の通った姿勢が貫かれていました。