1967年オープン。全国の珈琲店を飲み歩いて
安来(やすぎ)のこじんまりした駅前から国道沿いに西へ歩くこと5分、山陰合同銀行の店舗が建つ交差点を左折した静かな路地に、サルビア珈琲が店を構えています。オーナーの門脇美己さんが夫人の由紀子さんと二人でサルビア珈琲をオープンしたのは1967年。
「サルビアの由来? 当時の喫茶店はカトレアやサルビアなど、花の名前をつけるのがポピュラーだったんですよ」
85年から自家焙煎を始め、カフェ・バッハの田口氏が開催する自家焙煎セミナーの第一回の講座から参加したり、北海道から沖縄まで名店と呼ばれる珈琲店を飲み歩き、自分の舌で味を確認したりしながら、独学で焙煎技術に磨きをかけてきました。
現在では売り上げの8割がコーヒー豆の販売。豆を購入しに訪れたお客さまがついでにカウンターに座って飲んでいく、そんなスタイルの利用が主流です。
かろやかで上品、サルビアブレンド
お客さまの嗜好は人それぞれ。濃厚でクセのある味を好む人もいれば、優しくマイルドな味を好む人もいます。多様な好みに対応できるよう、サルビア珈琲ではブレンドコーヒーもストレートコーヒーも、浅煎りから深煎りまで豊富なバリエーションを展開しています。
「若い人は強くてしっかりした味が好きだと思いますが、私個人は誰にでも飲みやすい、優しくて素直な味が好きですね」
と、穏やかな口調の門脇さん。
その個性が最もよく表現されているのがサルビアブレンド。柔らかで透明感が際だち、雑味やえぐみが全く感じられません。かろやかで、このうえなく上品な一杯。
たしかにこれなら、「コーヒーって焦げくさくて苦いでしょう? それがどうも苦手で…」という人にも、飲み慣れた人にも満足していただけそうです。