3/3 シルベラード　（銀座） [女性のためのグルメ情報] All About

スコーンで作る「オールドファッションショートケーキ」！

デザートは、「オールドファッションショートケーキ、ミックスベリーコンポート添え」。ショートケーキと言えば、白いクリームが挟まれたふわふわのスポンジ生地の上に、真っ赤なイチゴがポクッとのっているのを想像しますが、こちらのはスコーンが主体。

とは言っても、それはポソポソと喉がつまりそうな固いスコーンではなく、やわらかいビスケットのような食感。表面にはシュガーがまぶされ、ほんのり甘く、優しい味わいです。このスコーンにシロップ漬けにしたイチゴをたっぷり挟んだのが、「シルベラード」のオールドファションスタイル。これがやみつきになるほどおいしくて、思わず「このスコーンだけテイクアウトで販売して下さい」とお願いしたほど。

デザートが、シャーベットに果物をちょこっと添えただけだったりすると、どこか安易で、どこか経費削減されたような残念な気持ちになるけれど、ここの監修はカリフォルニアで活躍するヒロ・ソネ。ある程度、量でもアメリカらしさを出してくれています。

パーソナル・キュイジーヌこそがカリフォルニア料理。

そんなヒロ・ソネのコースを堪能すると、改めて気になるのが、「カリフォルニア料理って何？」ということ。人種の坩堝であるアメリカらしく、いろんな国々のいい所を取ったお料理という印象があるけれど。

実は、この質問が一番多いのだそう。そんな時のヒロ・ソネの答えは、「私のパーソナル・キュイジーヌこそが、カリフォルニア料理そのものです」。

「今はクリックするだけで、別の国の食品を見たり、買ったりできる時代。日本の醤油を、フランスのシェフが使っていても、なんら不思議じゃない。そんな世界共通の食品が増える中、個人を出していくのはとても力のいること。だからこそ、考え過ぎると逼迫してしまう。ならば、原点に戻って、食材の宝庫と言われるカリフォルニアの豊かさを出していくこと、食べる楽しみを創り出すことをテーマにしてゆきたい。それが、私のパーソナル・キュイジーヌであり、カリフォルニア料理」。

カリフォルニア料理の豊かさの第一歩は、生産者の顔。

そんなヒロ・ソネのご実家は、宮城県の米生産農家。お父様の作ったお米でリゾットを作る度、お父様の顔が浮かび、ひと粒、ひと粒を大切にする気持ちがわいてくるのだそう。

だからこそ、ヒロ・ソネは言います。「カリフォルニアにはファーマーズマーケットが数多くあり、りんご１個でも誰が作ったものかわかりやすい。でも、日本はまだまだ生産者の顔が見えにくい。誰が作ったかを知ることが、日本でカリフォルニア料理の豊かさを表現する、第一歩目のアプローチ」。

分かれた川がまたひとつになる新舞台「シルベラード」。

そんなヒロ・ソネを「シルベラード」の料理監修に迎えたのは、総支配人を務める新川博美氏。ヒロ・ソネとの出会いは、25年前の「スパゴ東京」。オープン前にふたりで、ハリウッドの「スパゴ」に２ケ月間研修に行き、２、３歩歩いては怖さに振り返るような場所にあったモーテルに泊まり、「もう２度とアメリカには来ない」と言い合ったのが、今は良き思い出になっているそう。

そう言ったヒロ・ソネも、その後、渡米し、ハリウッド「スパゴ」のヘッドシェフに昇格。2003年には、ジェームス・べアード賞“カリフォルニアベストシェフ”を受賞し、その後、オーナーシェフを務めるレストラン「Terra」「Ame」でミシュラン１つ星を獲得。また、「Ame」では、ザガット“ベストニューレストラン”も受賞し、アメリカでのスターシェフの地位を築き上げました。

そして、長い時を経て、今度は「シルベラード」で再会を果たしたふたり。人生はまるで、ひとつになっては分かれる、分かれてはひとつになる川の流れのよう。そんなどこかで聞いたようなセリフに、なんだか心温まるのは、きっと温かいお料理をいただいたせいだけではないでしょう。

来日最終日、ヒロ・ソネは「大丈夫、大丈夫」と吉田シェフの肩をたたき、笑顔でカリフォルニアへ帰って行ったそうです。

ヒロ・ソネから「シルベラード」キッチンを預かる吉田健志シェフ。

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「シルベラード」が入る「ロイヤルクリスタル銀座」の入口。

＜店舗データ＞
■シルベラード
所在地：中央区銀座５丁目４-６
ロイヤルクリスタル銀座８F
TEL：03-3569-3344
営業時間
ランチ 11:30～14:00 (LO)
ディナー17:30～22:00 (LO)
定休日：無休
JR有楽町駅銀座口より徒歩約５分
銀座線・丸の内線・日比谷線銀座駅B６出口より徒歩約１分
地図：Yahoo!地図情報
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