Wii編では、ゲームの敷居を下げたことをWiiの「大ヒット」の理由として挙げました。それでは、年末商戦においてPS3が「Wiiに水をあけられた」理由は何なのでしょうか。
| 「PS3」(ソニー) | スタートダッシュはWiiに軍配。 | しかしPS3の潜在能力はピカイチ! |
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Wiiに対するPS3のアドバンテージとして、真っ先に挙げられるのがゲーム機本体の高性能なスペックでしょう。『
グランツーリスモHD』にしても『
アーマード・コア4』にしても、その臨場感あふれるグラフィックとサウンドは、3社の新型ゲーム機の中でもトップクラス。
コントローラを刷新することでゲームを「新化」させたのがWiiなら、本体性能を高めることでゲームを「進化」させたのがPS3と言えそうです。
……ですが、こうした両ハードの対照的なコンセプトが、そのまま販売台数の違いとなって表れているとは、必ずしも言えない事情もあるように思えます。
PS3のコントローラは、外見はPS2のコントローラとほとんど変わりません。Wiiリモコンのように画面をポインティングする機能はありませんが、手の傾きや回転を感知する「6軸検出システム」を搭載しています。Wii編で述べたこととも関連しますが、従来のゲーム機で発売されていたシリーズの新作を、従来どおりの感覚で遊びたいのなら、この点においてはPS3が優位です。また、次世代DVD規格のひとつであるブルーレイディスクの再生機能も、WiiにはないPS3の大きな魅力のひとつです。
WiiとPS3、それぞれ「ハード」として独自の魅力を持っているのに、それでも販売台数に大きな差が出ているという現状。その理由は「ハード」ではなく「ソフト」にある、ということなのかもしれません。
ハードの高性能化・多機能化によって、「ゲーム機はソフトが無ければただの箱」という格言が以前よりも通用しなくなっている……とはいえ、やはりソフトの充実は消費者にとって大きな購入動機になります。極論を言ってしまえば、ゲーム機はソフトを遊ぶために仕方なく買う商品ですから、ゲーム機ごと買いたいと思わせるだけの魅力的なソフトが無ければ、いくら本体やコントローラが凄くても消費者は買ってくれないでしょう。
実際、『はじめてのWii』や『Wiiスポーツ』がいずれも現時点で80万本以上を売り上げているWiiに対し、PS3のほうは最も売れている『機動戦士ガンダム
ターゲットイン サイト』でも20万本弱に留まっており、ソフトの販売が伸び悩んでいるという印象は否めません。
◆1月14日時点での累計販売実績◆ |
| Wii | PS3 | ハード | 124.3万台 | 58.1万台 | ソフト (全ソフトの合計) | 292.6万本 | 64.2万本 |
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(電撃マーケティング室調べ) |
……もちろん、両ハードは値段もだいぶ違いますから、Wiiよりも高価なPS3が販売実績で劣勢に見えてしまうのは仕方がないのかもしれません。それでも「値段に見合うだけの価値」があれば消費者は購入を検討するわけですから、『
ファイナルファンタジー13』や『
メタルギア
ソリッド 4』など、今後さらにソフトが充実すれば、PS3が勢いを増してくる可能性は大いにあります。ここで言う「ソフト」というのは、ゲームだけでなくブルーレイディスクの映画ソフトなども含まれますから、次世代DVDの規格争いもPS3の今後を大きく左右しそうですね。
「次世代」という観点では、PS3はフルハイビジョン対応であることが大きなメリットであり、なおかつデメリットでもあります。なんせPS3の「次世代」を堪能するためには、フルハイビジョン対応のテレビと、5.1チャンネルのホームシアタースピーカーセットも用意しなくてはいけません。大容量のブルーレイディスクに詰め込まれた画質と音質は、PS3本体を買うだけでは堪能しきれないのです。
流行りの言葉で表してしまえば、環境によってPS3から得られる体験に「格差」が生じる、ということです。だからこそ、いったん最高の環境で「次世代」を体験してしまうと、もう後には戻れなくなるほどの魅力を秘めているわけですが。
長期的・世界的に見れば、数年後にはPS3が最も多くの累計販売台数を記録するだろう、と予測している調査会社やアナリストも少なくありません。PS3の本領発揮は、ソフト面でもハード面でも、「まだまだこれから」のようです。
……と、ここまでWiiとPS3を中心に考察してきましたが、もうひとつの新型ゲーム機も最近スゴいんですよ。つぎのXbox 360編を読めば、Xbox 360への印象が変わるかも!?
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