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やり込み要素の危険性

ゲームの本編が終わってもさらに遊べるやり込み要素、今はない方が珍しいというぐらい、ほとんどのゲームについています。しかしこれが、メーカーの首をしめているかもしれません。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド

メーカーの為? ユーザーの為?

いまやほとんどのゲームにやり込み要素が入っています。これって、本当に必要なのでしょうか?やり込み要素って、ありますよね。ゲームをクリアしても長く遊べるように、本編とは関係のないミニゲーム的なものがあったり、アイテムを全部集めたり、クエストやミッションといわれるようなものがたくさんついていたり。最近のゲームでは、ない方が珍しいというぐらいに、多くのゲームにやり込み要素があるように思います。

やり込み要素には、折角買ったゲームですから長く遊べるようにというユーザーサービスの部分があります。特に、そう簡単に何本もゲームを手に入れることができない子どもたちにとっては、長く遊べることはとても大切です。

ただ、やり込み要素を盛り込むメーカーには、もう1つの狙いがあります。それは、プレイ時間をできるだけ引き伸ばすことによって、中古にゲームが売られることを抑制し、できるだけ新品ソフトが売れる状況を生み出すというものです。

この、できるだけ長く遊んでもらって、中古市場への流通を防ぐことで新品ソフトが売れる状況を生み出すという目論見、本当に正しいのでしょうか? ガイドは、やり込み要素について3つの危険性があると思っています。1つづつお話していきましょう。

可処分時間の浪費

ユーザーがみんな、たっぷりゲームに時間をさける人であればいいのですが、なかなかそうもいきません。まず、ユーザーのゲームに使える時間、という視点のお話です。やり込み要素を増やしてプレイ時間を引き伸ばすという方法論を使うのが、少数のタイトルであれば何の問題もありません。しかし実際には数多くのゲームが、プレイ時間の引き伸ばしを試みます。そうすると、これはユーザーの遊ぶ時間を大量に奪っていることになります。

収入のうち、自分の自由な意思で使えるお金のことを可処分所得といいますが、その概念を時間に適用して、ユーザーが自由に使える時間を可処分時間とするなら、やり込み要素の氾濫は可処分時間の浪費を業界全体で促していると言えるでしょう。1日は24時間、有限です。ユーザーの可処分時間は、ゲーム業界にとってはお金にも等しい価値があります。

また、プレイ時間を引き伸ばしても中古に行くのを遅らせるだけで、売られることそのものを止められる施策ではないということも重要かもしれません。中古に流れたゲームが、また中古で可処分時間の浪費を繰り返します。

これが、やり込み要素の危険性その1です。さらに次は、中古対策をすることが本当に大切なのか、というお話をしたいと思います。
やり込み要素の図
ゆったりゲームをする人の図
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