5本仕入れて、おしまい

お店の図
もちろんこの話には例外もあります。例えば知育系など、ライトユーザーが多く購入するゲームなどはある程度時間をかけてゆっくり売られます。当然お店も、長いスパンで在庫管理を考えます。
ある、売れないゲームがあるとします。出荷5万本で、初週販売数が2万本。知名度はないけれど、内容が斬新で、一部のマニアなユーザーには期待されていました。で、あるお店がそれを5本仕入れましたと想定しましょう。

じゃあこれが、発売と同時に5本がすぐになくなったら、お店の人は全国の集計なんかもチェックしながらリピート、つまり再発注をかけると思うんですね。でも、初週2万本で、自分のところのお店も2本しか売れなかった。先程お話したとおりで、5本仕入れて3本売れ残ったりしたら完全に赤字です。あまりよろしくない状況なわけで、ちょっと警戒します。

発売1ヶ月後、なんとか伸びて全国で累計3万本まできたところで、先程のお店は積極的にPOPなんかを工夫してゲームの良さを伝え、在庫だった3本を見事売り切ったとします。お店の努力で赤字を出さずにすんだぞ、よかったよかった、と。

しかしですよ、さあ、そこで再発注をかけるか、という話なんです。

メーカーとお店のにらめっこ

グラフの図
ちなみに、メーカーは発売日から時間が経つと中古に出まわって新品需要が減ることも計算にいれます。ただ、2~3万本の販売本数の場合は、絶対数が少なすぎてそれほど中古にも出回りません。
先程もご説明した通り、新品ゲームソフトを売って得られるお店の利益はすごく少ないんです。ですから、折角うまく売り切ったのに、また仕入れるというのはリスクばかりが大きいことになります。品揃えの面も考えれば再発注しないとまでは言い切れませんが、かなりシビアに考えることは間違いありません。そしてこのことが、メーカーにもストップをかけます。

出荷5万本、この時点でメーカーはユーザーが買おうが買うまいが5万本分の売上が確定します。初週2万本がお店からお客さんに売れて、そこから発売1ヶ月後で1万本伸ばして累計3万本まで到達。今度は、そこからメーカーさんが売上を伸ばすためにどれだけ動くか、動けるかという話です。

どのメーカーさんも、出来る限り売上を伸ばしたいと思っています。でも現実的に考えた時に、ここでお金をかけて宣伝や販促を行っても結局まだ残っている2万本が消化されるだけで、お店は再発注してくれないかもしれません。つまり、メーカーの売上はあまり伸びない可能性が高いという話がでてきます。

こうなると、お店はメーカーが売る施策を打ち出さなければ仕入れられず、メーカーはお店が仕入れなければ宣伝しても意味がないという状況になり、硬直状態に陥ります。これが、売れないスパイラルだというわけです。

最初に売れないということが痛恨の一撃となり、勝つための戦いではなく敗戦処理的に業界が動いてしまうと、売れないゲームは浮上するチャンスを失っていきます。

しかも、この痛恨の一撃は、ゲームが面白いか面白いか分かる前に襲いかかってくるんです。