最初は断る任天堂の優しさ

河本産業の図
右から、戸川さん、井口さん、川井さんです。大変忙しい中、社長自らインタビューに答えていただくことができました
インタビューは河本産業社内で行われました。お話していただいたのは、代表取締役の戸川 浩明さん、CS事業部マネージャーの川井 信郎さん、同じくCS事業部の井口 和春さんです。まずは参入のいきさつから、伺いました。

川井:最初に企画を任天堂に持っていって参入のお願いをした時、その時は大篭城とは違うゲームでしたが、実は結構ケチョンケチョンに言われてしまいました。

ガイド:ケチョンケチョンですか?

川井:ええ、ケチョンケチョンですね。

戸川:でも任天堂の趣旨としては企画に駄目出しをしたというよりも、パブリッシャーへの参入、つまりソフトの販売元になるというのは容易ではないよ、という感じでした。これを売るためにあなた達はどこまで考えていますか、ということを確かめたんですね。

例えば、CMやらないと売れないと思いませんか? とか、営業マンたくさん必要じゃないでしょうか? とか、色んな質問をしてくるわけです。その中で、このゲームは売れると思いますかと。売れなかったらあなたのところは経営が苦しくなって、結果参入したことが不幸になったりしませんか、と。

多分、新規で参入するところには、みんなにそう言ってるんじゃないかと思うんです。参入したはいいものの、いざとなったら何もできないなんてことが起きたら大変じゃないですか。任天堂さんからしても売れてくれないと、参入したらあそこの会社潰れたなんてことになったらお互い不幸なわけですし。そういう指摘をしてくれるのは、ある意味で任天堂さんの優しさなんだと思います。

ガイド:じゃあ、最初は厳しい指摘を受けて断られたと。

川井:そうですね。それからまた半年ぐらいして、今度は大篭城の企画を持ってもう1度いきました。

戸川:今度は、制作、営業、宣伝をする体制はあるよ、ということもお話しました。ちゃんとゲームが作れて、営業して販売までこぎつけて、自分達なりに宣伝もしますと。

川井:そしたら、そこまで言うなら、みたいな感じで通りました。2回目の本気を感じ取ってもらったのかもしれません。後はまあ、断られても、もう1回きますよって(笑)

DSに参入するのは開発が楽だから?

Wiiスポーツの図
例えば、Wiiで言えばWiiリモコンのポインタ機能や加速度検索機能を生かしたゲームが初期はかなり求められました。ハードが普及して、認知が広まるごとに、そういった要求はゆるくなり、多様化したゲームが登場していく流れになります
ガイド:無事参入が決まったということで、次は開発のお話をうかがいたいと思います。よく、DSは開発が楽で、PLAYSTATION3(以下PS3)やXbox360は大変というようなことを耳にしますが、今回DSを選択したのは、開発が楽だから、という部分もあるんでしょうか?

川井:大篭城に関して言えば、開発の難しさということよりも、単純にタッチペンがユニットを配置して遊ぶ防衛シミュレーションにとてもあっているという、ハードとの相性の部分で選んでいます。

井口:開発の大変さの話をすると、PS3はまじめにやったらシャレにならないですね。PS3の表示能力って、普通のモニタでは表示できないレベルの高解像度で出力しているので、素材を作ること考えただけで大変です。DSを1とすれば、100の素材を用意しなくちゃいけないイメージです。逆にXbox360は、そうでもないです。

ガイド:PS3とXbox360でそんなに差があるんですか?

戸川:スペック的なこともありますけど、ハードメーカーやユーザーが何を求めるか、ということの方が大きいかもしれません。普通、どんなハードでも最初はそのハードのスペックを生かしたものが要求されますから。そういう意味でPS3は普及戦略的に、またユーザーが求めている空気という意味でも、まだスペックを生かした精密なグラフィックが求められているように思います。Xbox360は比較的そうでないものも許される雰囲気になってきてると思います。

どんなハードでもやりようはあるんです、PS3でもあまりお金をかけないでゲームを作る方法はあります。ただし、どんなものが求められているかによって、出せるものもおのずと決まってきますから、その中で作るソフトときちんとあったハードを選択していくということになりますね。実は河本産業はXbox360にも参入を表明しているんです。ただ、今のところピッタリくる企画が無い、ということでソフトが出ていないという現状です。


意外にもDSを選択した理由は、開発のしやすさからではありませんでした。次は、販売や宣伝について伺っていきたいと思います。