すぐ飽きるお手軽楽器体験ゲームではない
完成したミュージッククリップでは、凝ったカメラワークで演奏するMiiを映してくれます。アングルが変わるだけでちょっとキマッてる風に見えますよ |
WiiMusicでは、1つの曲をメロディや、ベース、パーカッションといった6つのパートで演奏できるのですが、1つ1つのパートを録音してミュージッククリップを作り上げることができます。最大4人まで、同時に演奏することもできますし、1つ1つのパートを順番に全部自分で演奏して、1つの曲を作り上げることも可能です。
これが音楽を作り上げる面白さそのもので、曲の流れを考えて、盛り上げるところ決めたり、ソロパートを作ったり、かっこよくアレンジしてみたりと、何度も録音しながら自分のイメージに近づけます。リズムを綺麗に揃えて、パートごとに演奏する部分、休む部分を考えて、最後はかっこよく全パート一緒にフィニッシュと、いくらでもこだわって作りこめ、あっと言う間に時間が経ってしまいます。
しかし、音楽初心者がこれをやろうとすると、まず普通に演奏をあわせるところでつまづきます。色んなパートでタイミングや音量を合わせて、音楽的演出を考えながら作りこんでいくというのは、はまりこむ面白さがありますが、敷居も高いのです。
中身とイメージのミスマッチ
演奏の仕方を順序だてて教えてくれるレッスンもあります。レッスン通りに演奏するだけでも、なかなか難しいんです |
WiiMusicは、大人から子供まで、広くライトユーザーに向けてアプローチしています。CMでは家族や友人同士で遊ぶ姿が画面に流れます。しかし、実際には誰でも楽しく遊べるほどの間口の広さは感じられません。むしろ、音楽というものに対する真摯な姿勢が、噛めば噛むほど味の出るプレイングの妙を引き出すゲームです。
WiiMusic発売前の各種メディアによる紹介でも、音楽を作りこんでいく面白さに触れるものはほとんどなかったように思います。多くは気軽に楽器が体験できるゲームとしての紹介です。制作スタッフががおそらくはこだわりにこだわりぬいて作りこんだ、音楽の面白さを体験してもらうというエンターテイメントは、実際のところほとんど伝わっていないのではないでしょうか。
今までに無いゲームなだけに、売り方が難しいWiiMusic。しかし、おそらく任天堂はこのままでは終わらないでしょう。