ゲーム業界ニュース/ゲームニュース講座

現実と交差する仮想世界 セカンドライフ(2ページ目)

ゲームの中でお金を稼ぐと、現実のあなたの手元にお金が入る、そんなゲームを知っていますか? 有名企業や国家までもが参加する、現実と交差した仮想世界が、アメリカから上陸します。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド


仮想世界で手に入れたものは、あなたのもの

私のアバターの図
アバターは自分の好きなように作ることができます。似せて作ってもいいですし、願望を形にするのも思いのまま
オンラインゲームの中で手に入れたアイテムなどのデータは誰に所有権があるのでしょう? メーカーでしょうか? それとも個々のユーザーなのでしょうか? これは非常に曖昧で、法的にはきちんとした決まりがありませんが、多くは利用規約の中で、メーカーが知的財産権を所持するときめられています。

しかし、セカンドライフでは、利用規約書の中で明確に、ゲームの中でユーザーが生み出したデジタルコンテンツ、例えばアバターと呼ばれるプレイヤーキャラクター、作り出すことの出来るアイテム、そしてそれを制御する為のプログラムなど一切について、全てユーザーに知的財産の所有権があると示しています。しかも、それを私的利用するのも、商業利用するのも問いません。つまり、ゲーム内であなたが作った物をあなたが誰にあげようと、売ろうと、自由であるということです。

ゲームのお金が、現実のお金に

上記とあわせて、セカンドライフのもっとも特徴的な仕組みのひとつが、ゲーム内通貨を換金できると言う点です。セカンドライフの仮想世界の中ではリンデンドルという単位の通貨が使われます。ゲームの中で仮想の通貨が使われるのは、セカンドライフに限ったことではありません。ほとんどのMMORPGは仮想通貨を使い、ユーザー同士がゲームの中で売買をし、ゲーム内経済が生まれます。しかし、それはあくまでゲームの中での話です。

セカンドライフでは、ゲーム内に設置されたATMを使って、ゲーム内の仮想通貨であるリンデンドルを、現実のお金であるアメリカドルに換金することができます。先ほど、このゲーム内で作ったコンテンツは全て、プレイヤーに知的財産権があるとご説明しました。つまり、このゲームの中で、例えば可愛い帽子を作ったのなら、それはゲームの中ではもちろんのこと、現実世界のルールにおいても、あなたの知的所有物ということになります。そしてそれを誰に売ることも自由であり、そうしてゲーム内の仮想通貨であるリンデンドルを得るということは、あなたが現実にお金を手にしたということになるのです。

音楽ライブをやって入場料を取ったっていいですし、お店をやったっていいんです。現実の世界と同じように、知恵を絞って何か価値を生み出せばそれはあなたの所有物であり、そしてビジネスをすれば、それはそのまま現実のお金になるのです。

このゲーム内で、開発メーカーであるリンデンラボ社はゲーム内で生み出されるデータの知的所有権を放棄すると同時に、全てのユーザーに限りない可能性を与え、現実と仮想世界を交差させる仕組みをつくることに成功したのです。

こうして現実と交差するこの仮想世界は、多くの一般ユーザーだけでなく、企業や、政府までも巻き込んでいきます。
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます