一人だっていいんだけれども
もちろん筆者はシングルプレイのゲームを否定したりはしない。言い換えればPS3ほど充実したシングルプレイを体験できるハードは他にない、という言い方もできる。だから多くのシングルプレイはPS3でヒットするし、他のハードで苦戦することも多い。
その上で、選択肢としての「繋がる要素」が弱いなぁ、と思うのである。
友人と、リビングやネット越しに繋がるゲームは時に爆発的な広がりを見せることがある。すれ違い通信を生かした『ドラゴンクエスト9』やファミリー層に絶大な人気を誇る『Wii Sports』がそうだ。
やはりPS3にも繋がる要素を重視したタイトルはある。
無料で楽しめるバーチャルコミュニティである『Playstation Home』もその一つだろう。
だが、体験してみるとこの『Playstation Home』、気軽に繋がるにはちょっと「重い」。起動にも時間がかかるし、ラウンジの移動も時間がかかり、そこから仲間を募ってゲームを起動するのにもまた時間がかかる。
繋がる「場」に力を注ぎすぎて利便性を失ってしまった例ではないかな、と筆者は思う。ハードの能力を活かしたいがために「場」に全力投球してしまったのだ。だが、大事なのは「要素」であるべきだ。
今の所「繋がる要素」はPS3の苦手分野に思えるが、ちょっとした光もある。『torne』と『デモンズソウル』だ。
緩やかな繋がりに注目
『torne』は録画に対応した地デジ用チューナだが、非常に緩やかなコミュニケーションを可能にしている。それが、他のユーザーがどんな番組を見ているか、録画予約しているかを知る事のできる「トルミル機能」だ。また、オンラインを前提とした『デモンズソウル』も、その繋がりはユニークだ。他のユーザーと直接コミュニケーションを取る術はなく、オンラインゲームの苦手なユーザーでも入り込みやすい間口の広さがある。
惜しむらくは知名度の割に大ヒットにまで育っていない点だろうか。
筆者としてはこの辺、国産ゲームならではの「緩さ」に、PS3ならではの繋がる利点があるように思う。
何にせよこれからは「どこで」「だれと」繋がるゲームなのか、そういったゲームデザインが重要になるだろう。
魅力的なマルチプレイ、そして定番のシングルプレイ。そういった選択肢の広がりが必要なのである。
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