リアルさとデフォルメの境目
『白騎士物語』のキャラクターは、すべてがアバターの作成と同じシステムで作られているそうだ。美麗というほどではないものの、バランスは良好。 |
解像度が上がり、高精細で美麗なグラフィックで遊べるようになると、ゲーム性にもリアルさが求められるようになって来た。
ドット絵のキャラクターのときは、会話のときに正面を向いて足踏みをしていても違和感がなかったが、8頭身のリアルなキャラクターがコマンド受付のたびにピタリと動きを止めるのは不自然だ。
ゲーム機の性能が低かったときは記号で許されていたキャラクターが、今は実写と見紛うほどのリアルな人物として描かれる。当然、コマンドで「たたかう」を選択すると敵モンスターまで走っていき、攻撃を食らわせた後はまた戻って次のコマンドを待つ、というコマンドバトル特有のプロセスが許容されにくい。
事実、海外ではコマンドバトルのRPGはほぼ廃れてしまっている。
国内でも同様の兆候があり、今発売されているRPGの多くはなんらかのアクション性を盛り込んだものが多くなっている。『ラストレムナント』のように、大軍の戦闘をコマンドバトルで表現するなど、コマンドバトルを複雑化しているタイトルもある。
従来のコマンドバトルRPGは、活躍の場を携帯アプリや携帯ゲーム機に移しているようだ。
海外と日本の市場の違いとして、日本では写実的キャラクターが受け入れられにくいという点がある。同じ8頭身のキャラクターでも、程よくデフォルメされたキャラクターのほうが好まれる。
しかしCGのデフォルメはさじ加減が難しい。
あまりアニメに寄りすぎても気持ちの悪いキャラクターが出来上がってしまうし、いっそアニメに見える技術を投入してみようか、という試みもなされている。
DSの『テイルズ オブ ハーツ』では、イベントムービーにCGとアニメを採用した2バージョン発売された。
Xbox360の『スターオーシャン4』はCGにアニメの比重を強めた独特の味わいがあるが、賛否両論と言ったところ。同じくXbox360の『テイルズ オブ ヴェスペリア』はCGをアニメっぽく見せる“トゥーンシェイド”という技術の投入で、違和感を払拭している。
格闘ゲームではあるが『ストリートファイターIV』では“筆シェーダー”という技術で筆画っぽい味のある2Dっぽさを出しているし、『NARUTO ナルティメットストーム』のトゥーンシェイドは3DCGでも一枚絵のイラストと見紛う美しさ。『戦場のヴァルキュリア』は水彩画的なCGで、チューニングが非常にうまく行っている。
こういった技術がどんどんRPGに転用され、ハイレベルなグラフィック=リアルなキャラクターという図式に捕らわれない独自の方向に進化していくのが国産RPGの将来像だと予想される。
また、アクション性の高いRPGの弊害の一つとして、リアルタイム性が高くなるとどうしても難易度が上がりがちになるという点がある。