大作ソフト一辺倒の仕組み
ワゴンセールの投売り。定価割れもはなはだしい。 |
しかしこれまでに述べてきたように、現状では「一部量販店での客寄せ」に使ったり「売れ筋ソフトのみを大量に確保」したりすることで、最終的には全体の売り上げを損なう結果になってはいないだろうか。
このあたりの意見を、ゲームショップ経営者に聞いてみた。
「今はWiiとDSの新品販売が好調だから問題は表面化していませんが…。
量販店がゲームを客寄せに使えないような状況になったらどうなるのだろう?と思います。
今のパブリッシャーは、セルスルー前提ではなく出荷だけを目的にする傾向がかなり強く出てきつつあります(ゲームショップ経営者)」
セルスルーとはつまり、消費者の手に渡った数。いわゆる販売数である。これに対し、販売店に卸した状態をセルイン(=出荷)と言う。
「メーカーは消費者を見るのではなく流通を見ている」と言うのが経営者の意見だ。
「その体質を支えているのが量販・複合店です。
その量販・複合店が今のような大量仕入れを行わなくなると、いろんなところから少しずつ綻びが出てくる恐れがあると思います(ゲームショップ経営者)」
話はここから、前回聞いた“実績”にも繋がってく。
現状、このシステムは非常にうまく回っている。メーカーと小売、消費者を繋ぐ上では理想的ではないかとも思う。しかし筆者には顕在化していない問題が隠されているように思えてならない。
そのひとつが、「売れるソフトの一極化」である。
大量に捌けると判断出来る大型ソフトに開発が集中し、需要はニッチだがユニークなソフトが開発しにくくなっていく。そして市場は続編だらけになっていくのである。
最近でも、有名プロデューサーの作品が強気な販売戦略で世に出回ったが、実売が伴わずにワゴンで投げ売られるようなことがあった。
案外、すでに小売の世界は微妙なバランスで成り立っているのかもしれない。
そんな中、専門店が生き残る道は残されているのだろうか?