製造ラインの謎
写真は中国大連にあるハイアール社。3年前に訪れたときのものです。今や製造拠点は中国に? |
月産20万台の製造を可能にしたとして、春発売までにすぐ枯渇しないだけの製品を確保するためには数ヶ月単位での前倒し生産が必要です。
さらに大量生産のために必要となる金型はその製造に2ヶ月はかかるのが通例です。この金型、複数用意すればそれだけ大量生産が可能になりますが、まったく同じ金型を用意するのは技術上非常に難しく、複数の金型を用意した場合部品同士の組みあわせで問題が起こる場合があります。これを嵌合(かんごう)と言います。
PSP発売当初「□ボタンを押し込むと戻らない」という不良品が発生しました。これは嵌合不良の代表的な例です。このようなこともあるので金型は必要最低限が望ましい。
そして近年環境問題に敏感になっているEU諸国などの配慮もあり、環境問題に対応した部品の使用が要求されます。例えば環境問題に配慮した部品を確保する場合、従来のものより時間がかかります。
PS3の場合製品自体が高価で、精度が要求されるものでもあるので、おそらく日本で金型を用意し、中国あたりで量産するのではないでしょうか?
その際準備期間なども多く取らなければならないと思われます。
それだけの準備が既に終了しているとは思いがたいのが現状です。
Blu-rayプレイヤー機能の謎
Blu-rayDiscの価格もあらかた判明してきたところで、いよいよ次世代DVD規格戦争も大事な局面になってきました。 |
しかし春に第一弾が予定されている他社製のBlu-rayプレイヤーは1000ドルを予定しています。それを同じ春にさらに安価に発売することが可能なのでしょうか? PS3はゲーム機能がメインであるはずなのに、です。
可能性として、最初はBlu-rayの再生機能自体を盛り込まない可能性もあるのではないでしょうか。再生に必要なデコードチップをあらかじめ内蔵しておく事も考えられますが、PS2のようにソフトウェアデコード(ハード的なチップを使用せずに内部のプロセッサのみで再生を可能にする)をオンラインアップデートで実現する可能性も否定できません。
価格の謎
メリルリンチ社によると、発売当初のPS3の製造コストは900ドルだと言います。やや大雑把であり、これをもとに見積もりを取るのは危険だともいえますが、価格の大部分をCELLプロセッサとBlu-rayドライブが占めるのは確実です。しかしXbox360と違い、PS3にはHDDを内蔵するモデルの発売予定がありません。
後藤弘茂のWeekly海外ニュース
*久多良木社長の発言「HDDはデフォルトでは載せない」
周辺機器として発売するのであれば、HDDの分で価格的なアドバンテージを持っているのではないでしょうか。
これを私はPS3の価格設定のマジックであると考えています。
HDDを搭載しないPS3の価格で、HDDを内蔵するXbox360(海外では内蔵しないモデルもあり)との価格を対比させることによって価格差を実感しにくくするということではないでしょうか?
さて、それではPS3の「本当の」発売日はいつになるのでしょうか?