シリーズで見るFF10
グラフィックPS2へと開発を移してもっとも劇的な変化を遂げたのがグラフィックです。従来作品でも一枚の写真のような地形をポリゴンキャラが表情豊かに動き回るなどグラフィックに力を入れていましたが、それもFF10に比べれば雲泥の差と言わざるを得ません。
FF10では現行機種では最強の画像処理能力を持つPS2の能力をふんだんに使い、従来であればムービーシーンかと見紛うようなリアルなグラフィックでゲームをすることができるようになりました。
特にフェイシャルモーションと呼ばれる、キャラクターの表情の変化を表現するシステムはキャラクターを生き生きと表現していて秀逸です。
哀しいシーンでは哀しい顔、楽しいシーンでは楽しい顔。当然のことと思われるかもしれませんがゲームでは大変な事です。
ファミコンのFFでは表情なんてもってのほか、というグラフィックでしたし、それ以後もせいぜい顔の上に「!」とか「?」とかが表示される程度。FF8はシリーズで初めて八頭身キャラクターが活躍するゲームでしたが、正直PSのグラフィック性能では表情を表現するのは無理と言わざるを得ませんでした。
今回は表情に加え、シリーズで初めて音声が加わり、音声に合わせて何と口パクをします。これはもうCGアニメーション作品と言っても過言ではない出来です。
サウンド
さて、音声といえば、FF10はシリーズで初めて音声に対応した作品なのです。音声が入ることによりゲームがエンターテイメント作品にまで昇華されたと言っても過言ではないでしょう。
そして曲はシリーズを通して担当している植松伸夫氏。氏の作品は民族音楽を大胆に取り入れ、ファンも多いので是非一度じっくりと聞いてみてほしいと思います。
ハードがPS2にかわり、サウンドの面でも大幅にパワーアップしています。同時発音数が上がることによって壮大なオーケストレーションも表現できますし、サウンドメモリが増加(2M)することによりよりクオリティーの高い音を表現することも可能になりました。
以前までの作品でも制約のある環境で素晴らしい音作りをしていたFFシリーズですが、ハードの進化に伴うサウンドの強化も決して無視できません。
最後に
毎回「前作のストーリー、システムに縛られたくない」という制作スタッフの思いが感じられるFFシリーズですが、今回はさらに意欲的な変化が見えます。例えば世界観一つとっても今までにない南国(?)テイストを取り入れた世界で、斬新な驚きを与えてくれます。夏休み直前に発売されることもあり、「FF10が出るまでは」とPS2本体を買い控えしていた人たちが本体ごと買っていくケースも多いことでしょう。今まであまりゲームに触れなかった人たちにこそ、是非手に取ってほしいゲームです。