吉原大門へ
吉原の地名を残すのは、吉原大門という交差点である。吉原は今も昔と同じように通りは碁盤の目のようになっており、歩きやすい。現在は日本でも有数のソープランド街になっている。さすがにカメラを向ける勇気はないが、いくつかの店はすでに開店しており、男3人の散歩者には「早朝割り引きしますよ」などといった声がかかる。以前ここをご婦人2人と散歩したときとは様子が違う(原稿末尾の関連記事参照)。
さて落語「付き馬」だが、参考にしたのは、古今亭志ん朝のヴァージョンである。これがなかなかわかりやすい。
ガソリンスタンドの前にある見返り柳 |
かつての吉原は、お歯黒溝という川にまわりを囲まれ、その周辺は田んぼであった。出入りはこの吉原大門だけであった。さて「付き馬」の主人公、朝起きて、その勘定が48円75銭。たぶん明治時代の話であろう。もちろん、持ち合わせはない。そこで、この男は店の男とともに外に出る。
今も残る「見返り柳」
おばさんの店は吉原の中にあるのだが、まだ朝が早い。朝一番に金をもらいにいくのもなんだから、そのあたりで時間をつぶそうというわけで、まんまと大門の外に出てしまう。今も残っている見返り柳。説明書きもある。 |
この大門を出たところで、付き馬の男とともに湯に入り食事をするのである。
吉原の中を歩いてみる
昔もそうだが、今も吉原はひとつの街である。歩きまわるとけっこうな距離がある。さて、大門を出よう。落語「付き馬」によれば、大門を出たところに湯屋や食事をする場所がある。今もないわけではないが、早朝からやっているところはない。落語「付き馬」では、お湯代も食事代も男は持ち合わせはないということで、付け馬としてついてきた店の若い衆に支払いをさせるしたたかさがある。これがまた面白さにつながる。
吉原は普通に歩きやすい街である |
そして落語のふたりは浅草寺まで歩き出す。
さあ、次ページでは浅草へ行きます!