新宿三丁目の交差点から伊勢丹をのぞむ
散歩という趣味は金がかからないからいいのだが、行く場所によってはついつい散在してしまうことがある。たとえば、新宿だ。若いころのことだが、その日は給料日であった。僕は新宿で飲み、歌舞伎町あたりをフラフラ歩いていると変な客引きに遭った。なんだかわからないうちに変なお店に連れて行かれ、給料の大半を一晩で使ってしまったことがある。気を引き締めて歩かないと大変なことになってしまうというのが、僕の新宿のイメージだった。が、その後、新宿はずいぶん変わった。街が変わったのか、年をとったせいなのかわからないが、夜の歌舞伎町を歩いても、そんな変なことにはならない。かつては少し避けていた歌舞伎町も今はかなりの頻度で散歩する。
というわけで、今回は新宿三丁目を散歩のスタート地点に選んだ。
それにしても新宿三丁目の地下は大いに変わった。副都心線ができたからだ。
B2出口の階段をあがる。そこは明治通り、目の前には伊勢丹があった。
新宿三丁目の交差点から伊勢丹を見上げる |
新宿行きをためらわせる理由のひとつは混雑にある。JR新宿駅の東口、すなわちアルタ側への通路は人でごった返している。そこで、JRならば中央東口から出ることが多い。あるいは新宿三丁目から地上にあがる。
新宿末廣亭
都営新宿線の新宿三丁目の出口をあがると新宿末廣亭はすぐだ。現在、都内にある寄席は4カ所。上野の「鈴本演芸場」、浅草の「浅草演芸ホール」、池袋の「池袋演芸場」、そしてここ「新宿末廣亭」である。きょうは、ここで深夜寄席をのぞいてみようと思っている。都内に残る数少ない寄席のひとつ「新宿末廣亭」 |
時刻は8時半。まだ夜の部が行われている。深夜寄席が始まるのは9時半だ。とはいえ、すでに深夜寄席へ入ろうとする人の行列ができていた。こういった行列ができるようになったのは数年前からだ。落語ブームといわれて少し経過するが、以前の深夜寄席は、散歩の途中で気軽に寄れるものだったが、今は並ばないと席が確保できないこともある。この行列に並んでもいいが、さすがに腹が減っている。ひとまず、ちょっと腹になにか入れよう。というわけで、歌舞伎町に向かった。
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「番番」という老舗居酒屋を訪れます!