散歩/昭和を振り返る散歩ルート

横浜鶴見線、海の終着駅と消えぬ昭和散策(2ページ目)

横浜のJR鶴見駅から歩いて国道駅へ。幕末、東海道で起こった生麦事件の現場を見て、鶴見線に乗る。そして、海の見える駅「海芝浦」へ。京浜工業地帯に浮かぶコンビナートを見ると、なぜか切なくなった。

増田 剛己

執筆者:増田 剛己

散歩ガイド

まるで昭和初期の国道駅

毎回恒例の散歩の無事を祈る
道はよくわからないのだが、とにかく線路沿いを歩こうということになった。線路沿いに小さな「神明社」というお社があった。ここで、散歩の無事を祈ってお参りをする。

が、ここでミス。踏み切り脇にある陸橋を渡ってしまったのだ。あとから地図を見てわかったことだが、国道駅に行くには、南側にある国道15号線(第一京浜)をまっすぐ行けばよかった。Nくんが、

「この国道駅という名前は、まさに国道沿いにあるからなんですよ」

と教えてくれた。なるほど。ただ遠回りはしたけれど、いいこともあった。

京浜急行電鉄本線の花月園前駅前から南下していくと、「生麦交番」という看板が見えた。えっ、ここはあの生麦事件の現場なのか……?と感じつつ、中に入って聞いてみると、尋ねる人が多いのだろう、手書きの地図が用意されていた。親切に教えられて、僕らはまず国道駅に向かった。あとから考えれば、このコースならば、先に生麦事件の現場に向かい、それから国道駅に向かえばよかった。
JR鶴見線「国道」駅。コンクリートに太平洋戦争時の銃弾跡などが残る昭和の遺跡

ちょうど交番がある道が国道15号である。鶴見駅方向に戻る。すると、JR国道駅の看板が見えてくる。駅構内に入って驚いた。建物の上が線路になっているのだが、高い天井に薄暗い通路が駅の構内だ。1949年(昭和24年)の黒澤明作品『野良犬』のロケ地にもなったという。さっきの交番では、最近もテレビの番組のロケをやっていたと教えてくれたのだが、なるほどよくわかる。

薄暗い構内はひんやりした空気である。通路の両側には焼き鳥屋などのお店が並んでいる。まだ夕方前なので、まだ開いてはいないが、実にノスタルジックないい雰囲気だ。

「これはまさに昭和ですね……」

とNくん。うん、生きていたわけではないけど、むしろ戦前の昭和といった雰囲気である。懐かしいモダンさとでも言えばいいだろうか。
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