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コースターの乗車制限より自己管理では? コースターで脳障害ってホント?

「ジェットコースター乗り過ぎは脳障害の恐れあり」そんな衝撃的な研究が日本神経学会で発表された。果たしてその内容は? ホントのところどうなの?

執筆者:安達 孝之

ジェットコースターの乗り過ぎに注意?!
「ジェットコースターに何度も繰り返し乗ると、脳や脊髄に障害を起こす恐れあり」、そんな内容の記事が某新聞紙に掲載された。これは、先に開催された日本神経学会での亀田総合病院・福武神経内科部長の発表を受けてのもの。

↑確かに近年登場するコースターにはG(重力)が身体に強く作用するものが多い(画像はイメージです)。この発表によれば、`98年以降から、20歳代の成人が1日に4回から10回以上ジェットコースターに乗車した後、手の痺れや慢性的頭痛が見られるようになり、中には硬膜下血腫や脊髄中心部を痛めて知覚障害を起こした人もいたという。

実は以前にもこんな研究発表が

「こんな話、初耳だ!」と、驚かれる人も多いだろう。だが既にこの発表は、アメリカの医学誌「ニューロロジー」にて、このように研究記事が掲載されている。

――「ローラーコースター」に乗った後に、硬膜下血腫を生じるケースは稀だが起こり得る」

そして、

――「通常のコースターよりも、高く早く動くコースターは一層危険かも知れない。遊園地管理者とそこのライドで楽しむ人々は潜在的な健康のリスクに留意すべきである」と。

ジェットコースター=危険は間違い!!

ただ、このように発表された内容を読んだだけでは、「じゃあジェットコースターは安全じゃないの?」と思われる人もいるだろう。そこで、この発表に対して反論するというわけではないが、アメリカの医学誌「ニューロロジー」での研究記事に対して当時、日本遊園地協会、東日本遊園地協会、西日本遊園地協会が共同で発表したコメントを見てみよう。

このコメントにて、このような症状が出ていることについては、「1958年から現在(コメント発表時:平成12年1月時まで)まで、このようなケースの報告は協会に報告はない」とのこと。

また、コメントには我が国のコースターに対する安全性について、こんな興味深い記述が。まず、コースターは、建築基準法で規制されているという点。つまり、建築確認を受け、構造や速度、人体への影響など、安全面を審査され、竣工検査で合格しなければ営業・運行ができないということ。

もちろん、晴れて運行が開始された後も、定期検査と所定官庁への報告が義務づけられている。そして、高速かつ激しい運動をするコースターに関しても一般のコースターよりも厳しく、大学光学関係者などの評定委員が細部まで審査評定し、これを受けて建築大臣の認定を受け、建築確認ができるよう進められていく。

実際に日本で第1号となった宙返りコースターの認可は、航空自衛隊、防衛医大によってジェット機の宙返りにおける重力が人体に与える影響の度合いを検討し、規制され、基準が決められたという。

自己管理も必要なのでは?
確かに、近年はジェットコースターもユーザーの「よりスリリングなものを」という要望に応えて、動きのより激しいものが登場してきた。だが、こういったコメントを読む限り、そんなコースターもしっかりとした建築計画から始まって、一定の安全基準を越えない安全なものだと理解できる。

ただ、やはりコースター運営者側が告知看板で制限するような、幼児、高年齢者、病気の人、飲酒されている人、高血圧な人、妊婦の人などは利用すべきではないことは確か。

また、体調を崩すまでコースターに乗り続けるというのもいかがなものだろうか。そんな人たちの為に「コースターの乗車回数に制限を」という声もある。だが、個人的にはそれ以前に、「乗車後、体調がおかしいと感じたら医師の診断を受ける」など、自己管理も必要なのでは?
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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