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アテネ五輪の報道を通して 五輪卓球つれづれ(1)松下浩二(2ページ目)

アテネ五輪の卓球競技が終わりました。卓球ガイドは現地には行かなかったのですが、テレビや新聞などの報道を通して感じたことを「つれづれなるままに」記したいと思います。1回目は松下浩二選手について。

執筆者:壁谷 卓

4大会連続の五輪出場を決めたときから、僕は、アテネ五輪は彼にとってどんな意味をもつのだろうか、と思いつづけていました。アスリートとしての総合力は、たぶん前回のシドニーがピークだったから、ミもフタもない言いかたをすれば、彼が目指してきたメダル獲得は苦しい。かといって、「次の五輪」に向けての貴重な経験になるというには、いささか歳をとりすぎた。いわば、目標とするものがぼんやりとした大会になってしまうのではないかと思っていたんです。

だけど、JOCの「公式行事」である入村式に出たと知って、彼は選手として最後になるかもしれない五輪を「浴びたかった」んじゃないか、と思ったんです。五輪という現実のなかに自分を没入させ、情景や雰囲気や匂いや音なんかを、ありありと刻み込むことが目的だったんじゃないかな、と。

「責任」と「寛容」を示す

オリンピックで「勝つ」ためには、とりわけ金メダル候補に挙げられるような選手であれば、試合以外のことに振り回されたくないですよね。それらはメンドクサイだけで、目前の試合に勝つためのプラスにはなりませんから。だけど、「ま、ヴェテランなんだし、引き受けてやるか」という感じだったのかどうか知りませんが、結果的に松下選手はそこにいたんですね。

社長としての「責任」をまっとうし、4回目出場の「寛容さ」を示し、そのうえで試合に臨んだんじゃないかと思うんです。つけ加えれば、僕なんかにアテネから絵はがきが届いたぐらいだから、相当数の関係者への心配りも忘れなかったのでしょう。

オリンピックに臨む選手の態度として、それが正しいことなのかどうか、僕にはわかりません。ドーピングをしてでも金メダルをとりたいという選手のほうが、ある意味では正しいことをしているのかもしれません。だからといって、選手としての自分だけを押し通すわけにもいかないんですよね、社会的な立場からいって。もう「ピュアな時代」には戻れない。切ないけれど。

そのうえで自分の役割を考えたとき、「五輪を吸収すること」だったんじゃないか、と僕は思ったんです。その経験というのは、次の五輪のためではなく、次の「世代」に継承できるものだから。そういう意味で、アテネ五輪は彼にとっては有意義な大会になったと思うし、ゆくゆくは日本の卓球界にとってもプラスに働くんじゃないかと思うんです。

ともかく今日、彼は37歳の誕生日を迎えました。次なる目標はなんなのか、今度会ったら聞いてみたいと思います。

********関連サイト*********
<記事>
松下浩二、4大会連続の五輪へ
トヨタカップ国際卓球がビデオに
<リンク>
オリンピック卓球競技タイムテーブル(JTTA)
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