強い陽射しが照りつけた昨日が嘘のように、今日はまた朝から雲に覆われ、ときおり小雨も降りました。
大会も残り2日間となり、フロアに置かれた卓球台はついに1台のみになりました。昨夜、福原愛が敗れたため、日本選手がこのコートに姿を現すことはありません。ただ、大阪大会の個人戦では、開催国にも関わらず日の丸のユニフォームが登場しない日が3日間あったことを思うと、メダルは獲得できなかったものの、そうそう悲観的になるほどの大会でもなかったのかな、という気がしてきます。
とはいえ、残り2日間の試合を漫然と眺めるのもしゃくなので、中国の5種目制覇なるか、それを阻む選手は現れるのか、ということをメインテーマに観戦することにしました。別にそんなテーマなんかもつ必要はないのかもしれないけど、ひいきのチームを応援するとか特定の選手を追いかけるとか、そういう視座がなんにもないと、スポーツ観戦というのは意外につまらないものになってしまうのです。逆に、肩入れできるチームや選手があれば、ゲームのレベルとはあまり関係なく、十分に観戦しがいのあるものになるように思えます。

そんなスタンドの「応援合戦」を眺めていると、中国の強さは案外こんなところに隠されているのかもしれないな、と思えてきます。世界規模で根を張る中国人コミュニティーの結束力を考えたとき、世界選手権がどこで開催されようとも一方的なアウェー状態にはならないだろうという推測が働きます。そして、人というのは、自分を見つめてくれる人がいるという確信があれば、たとえそれがたった1人だろうと、思っていた以上に踏ん張れるものだからです。
その「踏ん張れた」選手として、王楠を挙げたいと思います。少なくとも、ベルシーに集結した中国人の目には、まぎれもなく「王楠の日」と映ったはずです。