卓球/卓球関連情報

2002全日本選手権より(4) コラム集「勝者たちの記憶」(6ページ目)

絶賛あり? 辛口あり!! 全日本選手権の各種目の「勝者たち」を、主観と偏見に満ちたコラムやレポートで振り返ってみました。まあ、コラムなんてそんなもんですけど。

執筆者:壁谷 卓

男子ダブルス

優勝 倉嶋洋介・木方慎之介(協和発酵)

まったくの私見であるが、ダブルスの強さを推し量るものとして、「ほれぼれする感じ」という印象をひとつの基準としている。むろん、それは「世界基準」であるのだが、その印象を強烈に受けたペアは、いまのところ松下浩二・渋谷浩(ミキハウス・日産自動車)が最後である。

田崎俊雄・鬼頭明(協和発酵・健勝苑)がどこまで近づけるか未知数だが、同じチームでないところがネックになるかもしれない。そう考えると、初優勝した倉嶋洋介・木方慎之介(協和発酵)のほうが可能性は高いかもしれない。

倉嶋(写真右)、木方は、ともにクレバーな選手だ。そういった場合、歯車がかみ合っているときはいいのだが、一方が不調に陥ると、もう一方に伝染しやすく、ドツボにはまりやすいという傾向がある。

しかし、今回の2人には、それが無縁だった。戦術におぼれることなく、高い身体能力を存分に発揮していた。頭より身体がやや優勢のとき、このペアは強い気がする。

ちなみに、ダブルスでの勢いは、シングルスにも乗り移り、2人は準決勝で対戦した。ストレート負けを喫した倉嶋は、「木方の出来のほうが僕より一枚も二枚も上手でした。攻め切れないっていうか、フットワークが衰えないから、どこにレシーブしてもフォアハンドで動き切られちゃうんで。完敗です」と木方の強さに脱帽した。

最後に、シングルス準々決勝で優勝候補の新井周(グランプリ)を破った倉嶋のコメントを紹介する。4回対戦して「1セットもとったことがない」という彼がいかにして勝ったのか。その戦術に、彼の聡明さを垣間見ることができるかもしれない。

「普通にやったら100%負けると思ったんで、自分が100%以上の力を出すか、向こうが100%以下の調子じゃないと勝てないことはわかっていたんです。バックのブロックが固いので、いくら打っても抜けないと思っていたので、強弱をつけて、バックに詰められても強く打たないでゆっくり返そう、と。

フォアハンドを打たれたら、クロスに来たボールは全部カウンターを狙って、あとはもう全部しのいで。打っても打っても返ってくるんだぞ、っていうプレッシャーをかけてたら、やっぱり相手が崩れてきたんで、ああ、効いてるな、と」

決勝 倉嶋・木方 3(6、10、11)0 矢島淑雄・野平直孝(健勝苑)
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