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2001全日本選手権 男子シングルス カット受難時代の価値ある優勝(2ページ目)

全日本選手権の男子シングルスで6年ぶり3回目の優勝を飾った松下浩二。40ミリボールになって一段とカットマンの受難が囁かれる時代において、価値ある優勝だった。

執筆者:壁谷 卓

もうひとつは、フォアサイドのボールをロビング気味に返す「カーブロング」を多用することだった。
「カットをすると体勢を戻すのに時間がかかるんです。いくら一生懸命にカットをしても、40ミリになったことでカットの切れ味が鈍っていますから、体勢を整えるまえに持っていかれちゃうんです。それならカーブロングで体勢を早く戻して、またラリーに持ち込んだらいいんじゃないか、と。」
ポイントをこのふたつに絞り込み、2日間、松下に徹底的に繰り返させたという。

わずか2日間で松下の漠たる不安がどれだけ解消できたのかわからない。ただ、「腹をくくる」ことはできたのではないかと思う。カットマンの原点である守備をベースに、それもより攻撃的な守備をベースに戦う、そのために攻撃力がある程度ダウンしたとしてもやむを得ない、と。松下が本番で手にしたのは弾みを抑えたラケットだった。

ヤマ場と見られた準々決勝の大森隆弘戦、松下は「秘策」通りの戦いで大森の豪打を完璧に封じ込め、4-1で快勝した。ところが、準決勝の倉嶋洋介戦では窮地に追い込まれた。セットカウント3-1のリードから3-3のタイに持ち込まれた最終セット、松下は出足に2点を奪ったものの、倉嶋の辛抱強いカット打ちによって7点連取され、2-7と大きなビハインドを負った。試合の流れは完全に倉嶋に傾き、松下の打開策は見あたらないように思われた。

「2-7になったときには負けるかもしれないという気持ちはありましたね。ただ、大勢のお客さんが見てるし、このまま簡単には負けられないと思った。負けるにしても、最後まで諦めずにがんばろうと。そうしたら、ツキがあって」

倉嶋のドライブに押され気味のラリーから、松下のカットがエッジボールになった。つづいて、松下の鋭いツッツキレシーブがネットにかかって相手コートに落ちた。2本のラッキーポイントで4-7になった。松下は息を吹き返した。「相手が弱気になったのがわかった」と言う。しかし、倉嶋が被った精神的ダメージは、松下が想像した以上に大きかった。
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