卓球/卓球関連情報

世界卓球選手権大阪大会ルポ 練習会場から見える風景(18)(4ページ目)

連載ルポルタージュの18回目。高島氏へのインタビューの最終回。

執筆者:壁谷 卓

「世界のトップは絶対に油断しないですね。それが世界選手権だと思っていますから。試合の直前だからとか、やりすぎると疲れるからとか、そんなものは超越していますからね。僕が監督していたころのミーティングでは、『この1ポイントとらせてくれるんだったら、この腕、次の日にちぎれてもかまわないという気持ちになるぐらい、この1本がほしいときがある。それが世界選手権だ』と、言って言って言い聞かせたんです。それが世界選手権なんですけれども、どうも甘い部分がありますね。

技術とか戦術みたいなものはあとから教えれば高まるんです。だから、そういうものを身につけるための土台となる精神面、体力面では、世界のトップと張り合えるものを持っているという姿が見えれば、誰しも『あれだけやっているんだから、2年後、3年後にはいけるんじゃないか』と思えるんです。日本の選手は非常によく練習すると。卓球のスタイルは泥臭いけど、ほんとうに一生懸命やってると。それが、なかなか見えにくいですよね」

「滞在している日本選手は、練習はしているんですか」
「交通局のところにも練習会場があるので、そこでやってるんでしょうね」
「ただ、ここには各国のトップ選手がそろっていますよね。そういった選手と練習ゲームをしたほうが、はるかに実のある練習になるんじゃないかという気もするんですけど。こんなに恵まれるチャンスなんて、そうそうないですよね」

「ないですね。やっぱり、これだけたくさんのスタッフがいるなかで、僕だったら、試合のまえに作戦を立てて、ここでどこの国の誰とどういう練習をするかと、全部スケジュールを考えますよ。いまのスタッフだって、外国のコーチ陣とも知り合いが多くて、いくらでもセットアップできるはずなんです。それが『選手が疲れてるから』というようなことで、よう組まないというんでは強くはなれないんですよ」

「たとえば、中国とかに謝礼渡して、練習ゲームをお願いして。そういうのが、ほんとうに意味のある強化費の使い方だと思うんですけど」
「そうなんです。それがナショナルチームと言われるチームじゃないでしょうかね。それをやらなかったら、ただの母体代表で終わってしまいますよね」
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