卓球/卓球関連情報

世界卓球選手権大阪大会ルポ 練習会場から見える風景(15)(2ページ目)

連載ルポルタージュの15回目。数回にわけて紹介する高島氏のロングインタビューの第3回。

執筆者:壁谷 卓

ソーレン・アレーンが来日した7月下旬以降、およそ3カ月に1回、大学、高校など各層の指導者20人ほどを集めて、2泊3日の指導者向けの講習会を開いた。

その一方で、高島氏は、ナショナルチームの選手の選考基準、強化方法などについてソーレン・アレーンと議論を重ねていった。ソーレン・アレーンが、97年の世界選手権まえの日本チームの合宿にアドバイザーとして参加した際に、日本の強化策にたいして疑問を呈したからだった。

「日本はいろんな特殊な事情があるので、完全にスウェーデン方式ではできないということを理解してもらったんです」と高島氏は言った。

スウェーデンではすべての選手がクラブに所属しているため、スケジュールの調整に頭を悩ませることなく、ほぼ固定した6人から8人の選手で年間10回の合宿ができる。しかし、日本の場合には、実業団、大学、高校と「横割り」になっており、それぞれに大会をかかえているため、まとまって合宿をするのが難しく、またメンバーも流動的になりやすいという事情があった。

「しかし、日本方式ではソーレン・アレーンを呼んできた意味がないわけです。だから妥協案をだしあって、お互いにここまでだったら我慢できるというところを見いだして、3カ月かけて新しいやり方をつくりあげたんです」

年が明けた1998年1月28日、日本卓球協会からナショナルチームのメンバーと強化方針が発表された。

選手は男女ともAが3人、Bは4人、Cが5人、Dは18人の各グループに分けられ、A~Cの指定選手の12人をナショナルチームメンバーとし、D指定選手を候補とした。技術力、戦術力、気力、体力、自己管理能力などを選考基準とし、選手には年間10回~14回の強化合宿、および海外遠征、国際大会への参加を義務づけた。半分ほどしか参加できないのでは効果が薄いという理由からであり、条件を満たせない場合には、年に2回、ほかの選手との入れ替えを協議する。

メンバーには責任感とプライドを持たせるため、遠征や合宿にまつわる費用の自己負担分を大幅に減らしたうえ、世界ランキング50位以内の選手に勝った場合にはポイントをあたえ、一定のラインに達すると栄養費を支給することなどを盛り込んだのである。
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 5
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます