日本卓球協会は去る6月23日の理事会において、国際卓球連盟の総会で決定された国際ルールの変更に合わせ、2001年9月1日から「11点制」を導入することを決めました。
この決定により、日本卓球協会が主催する大会はすべて11点制で行われることになります。傘下にある都道府県や市区町村の卓球連盟・協会が催す大会も「現行の日本卓球協会のルールを適用し……」となるのが常なので、100年近くつづいた「21点制」は消えゆくことになります。諸行無常、ですね。
11点制になると、競技ルールが大幅に変わります。
まずゲーム数が増え、現行の5ゲームマッチは7ゲームか9ゲームに、3ゲームマッチは5ゲームになる見通しです。5本ごとに交替しているサービスは2本ごとに。ゲームオールにもつれこんだ場合のチェンジエンドは、どちらかの選手(またはペア)が5点に達したとき。促進ルールは1ゲームが10分たっても終わらないときに適用されます。
ちなみに、5点ごとに許されていたタオリング(ゲーム中にタオルで汗をふくこと)は6点ごとになり、ゲームとゲームの間の休憩も最長1分になります。
11点制の戦い方にふれるまえに、そもそもなぜ11点制にするのか。理由をひとことでいえば、「テレビ対策」ということになるでしょう。
国際卓球連盟のアダム・シャララ会長は1999年8月の会長就任以来、卓球をテレビでアピールすることに腐心してきました。シャララ会長は『卓球王国』2000年1月号のインタビューにこう述べています。
《はっきり言えるのは、もし卓球というスポーツがテレビに登場しなくなったら、卓球は消滅するということです。新世代の人々はすべての情報をテレビから得ています。もし卓球がテレビに登場しなければ、誰も卓球の存在に気づくことはないでしょう》
そこまで明言できるのだろうかという疑問はあるのですが、テレビという電波メディアで卓球が映し出されるメリットの大きさには、異論はありません。そのためには、試合時間を短縮する、セット数を増やして終盤のクライマックスを数多くつくりだすなど、テレビ向けの対策を講じる必要があり、11点制が導入されることになったのです。
昨年秋に採用された40ミリボールも同じ流れのなかにあります。ボールを2ミリ大きくすることで、テレビカメラが卓球台に2メートル近づくのと同じ「映像効果」があることが決め手となったからです。