卓球/卓球関連情報

実感的卓球論(1) ミスという本質(2ページ目)

できるだけ一般論をかみ砕き、実感に寄り添った記事にしたいという思いからタイトルをつけました。初回は「ミスという本質」です。不定期連載になると思いますが、ご容赦を。

執筆者:壁谷 卓

実際、卓球においても、そういう安全志向が主流だった時代がありました。1936年の第10回世界選手権において、単調なツッツキのラリーが延々とつづき、1ポイントが決まるのに2時間を超えたそうです。

『卓球物語』という誉れ高き本によれば、2時間5分説、2時間12分説、2時間15分説があるのですが、説が唱えられてしまうこと自体、もう伝説のラリーです。

こんな人間離れした精神力の持ち主は、ポーランドのエーリッヒさん、ルーマニアのパネスさんのお2人。エーリッヒさん、1時間たったときにラケットを左手に持ち替えて30分粘ったあと、再び右手で45分。その器用さにも感心しますが、常人なら腕より先に精神的にしびれを切らしてしまいそうです。

しかし、審判もたまったもんじゃないですよね。首を右、左、右、左……このラリーの間に3交代したそうです。いつまでたっても終わらないラリーに業を煮やした国際卓球連盟は、解決策を練るために緊急の会議を開きましたが、1時間後に会場に戻ったら、まだラリーがつづいていたというエピソードもあります。

当時は、用具の質が悪くネットも高かったという、非常に攻撃しにくい状況だったことはあるにせよ、現代の卓球からは考えられないようなラリーです。試合をスピードアップさせる「促進ルール」の導入によって、ルール上、不可能になったこともありますが、ネット型の卓球においても、積極的に相手のミスを誘い合う時代だからです。

ただ、ミスを誘うための戦略、戦術を限りなく高めてきた結果、卓球がわかりにくいものになったような気もするのです。

第2回「回転というわかりにくさ」
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