時代とともに変わるラケットの流行り廃り
ウッド、スチール、カーボンへと素材が移り変わり、時代とともに着実に進化してきたテニスラケット。かつての一時代を振り返ると、そこには必ず流行りのスペックがあります。例えば、1990年代は一般プレーヤーの間では軽量化、フェイスの拡大化、そしてフレームの肉厚化が求められました。具体的には、250グラムを切る重さで110平方インチのオーバーサイズ、フレーム厚は30ミリにも迫る分厚さが人気。しかし、振りやすいものの相手ボールの勢いに押されてしまう傾向があり、逆に大きかったり分厚かったりすると飛びはいいが操作性が犠牲になるなど、一長一短が問題視されたのも事実です。偏ったスペックのラケットは、市場のメインにはなりにくいのでしょう。
黄金スペック
黄金スペックの火付け役である『ピュア ドライブ』 |
その流れを確定的にしたのは、2000年以降、全大陸におけるNo.1セールスを記録、そして今なおレコードを更新し続けているモンスターラケット、バボラ『ピュア ドライブ』。この『ピュア ドライブ』が火付け役と捉えても問題はないでしょう。
ウェイトは平均300グラムで、フェイスサイズが100平方インチ、22~25ミリのフレーム厚、そしてバランスポイントを320ミリに設定。この付近に迫ろうとするモデルが次々と現われ、それらは「黄金スペック」などとも呼ばれて、マーケットの根幹を支えています。