テニス/テニス関連情報

2005年女子テニスツアーを振り返る(2ページ目)

11月に開催されたチャンピオンシップで今年の女子ツアーが幕を閉じた。今回は、女子ツアー界の一年を振り返ってみたい。

執筆者:伊藤 一幸

主要大会を制した5人の選手内4人が復帰組だ

ウイリアムス姉妹、エナン、クライステルスともに2004年はケガや病気に泣かされ、特にクライステルスは引退説が流れるほど重いケガを負い、エナンはウイルス性の病気にかかり長期戦線離脱を強いられ、そこからの復活優勝だった。

印象的だった決勝戦は2大会。1つは全米、グランドスラム決勝に勝ち上がること5回。3度目の正直ならぬ5度目の正直で念願のグランドスラム初タイトルを勝ち取ったクライステルス対M・ピアースの一戦だ。

そして、もう1試合はウインブルドン。V・ウイリアムス対L・ダベンポートの一戦の試合時間は1970年にB・Jキングの2時間28分を塗り替える2時間45分というウインブルドン史上最長の女子決勝戦となった。4-6、7-6、9-7という大接戦を演じ、最終セット後半は見ているもの誰もが分かるほど両選手ともに肉体的にも精神的にも限界に達していた。

勝負を分けたのは、ほんの少しだけウイリアムスがダベンポートより気力と勝ちたいという気持ちが上回った。それだけであろう。それほどまでに二人の戦いは接戦だった。勝利が決まった瞬間、ヴィーナスは無邪気な子供のように喜びを全身で表しコート中を飛び跳ねていたのがとても印象的であった。

M・ピアースの見事な復活劇

今年、4大大会のうち2大会、全仏と全米で決勝まで進出している。M・ピアースは今年で30歳。年齢は杉山愛と同じであるがプロデビューを果たしたのが14歳。1989年から16年もの間、ツアーを周っているので超が付くほどのベテラン選手である。

4大大会も95年全豪、00年全仏で優勝しており、現役時代の伊達公子ともライバル関係にあったので、そこから考えれば、キャリアの長さを実感できるのではないか。

一時期、ウエイトの急増、ケガによるスランプ、そして新しい選手の台頭でピアースの存在感も薄れてきていた。しかし、今年に入ってからピアースは新たに台頭してきた若い選手が活躍するなかで、あまり取り上げられはしなかったがコンスタントに好成績を収め復活の狼煙をひそかに上げていた。

ピアースの持ち味といえばフォア、バックともに弾道の低いフラット気味の強烈なストロークであろう。昨年から取り組んでいた肉体改造とメンタル面の強化が功を奏し、復活劇を演出、気がつけばランキングを5位にまで上げていた。
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