"猪木王国"ではない"レッスルキングダム"確立へ

現在は幼少より恋焦がれた新日本プロレスを筆頭に、数々のプロレス&格闘技イベントの実況解説を務める清野茂樹アナ (C) Shigeki Kiyono
こんな時代だからこそ、一途に夢を追い求め、考え、工夫し、行動した男の言葉を届けたい――。

フリーアナウンサー・清野茂樹。プロレスを誰よりも愛し、古舘伊知郎に憧れ、その実況解説者になることを夢見た幼少時代を経て、現在はFIGHTING TV サムライにて新日本プロレスや総合格闘技イベントDEEPなどの実況を務める、まさに“夢を叶えたアナウンサー”だ。

広島エフエム放送時代には、プロレスのテーマ曲を流す番組を企画し、民放連番組コンクール・ラジオ部門で優秀賞を獲得。さらには新日本プロレスに持ち込んだ企画=会場内でミニFMを利用したプロレスの同時実況は大きな話題となり、後の新日本プロレス“真夏の祭典”G1クライマックスにも採用された。

本来、プロレスの実況解説者とは、各放送局に所属をするアナウンサーが持ち回りとなって担当を務めるため、清野アナの様に自ら能動的に、その道を切り開いたアナウンサーは極めて珍しい。夢を叶えたアナウンサー、その歩んだ道のりを聞いてみた。


――今日は宜しくお願い致します。さっそく清野さんの経歴を聞いていきたいのですが、その前に、まずは先日行われた新日本プロレス東京ドーム大会の率直な感想からお聞かせ下さい。

「ええぇ~、そこからですか?えっと、そうですね(しばし沈黙)。ノアとの対抗戦とかTNAとかいろいろありましたけど、やっぱりIWGPのタイトルマッチの印象が強いですね。前回の(両者の)対戦からして、30分を超える試合になるような気はしていたんですけどその通りでした・・・。

ドームのメインで30分超える試合ってちょっと記憶にないですよね?あとは、武藤さんって、去年はムタで試合して、一昨年はメインで蝶野さんとタッグ組んだり、ここ数年の新日本のドームには欠かせない役割を担っていますね。ただ、テンコジの復活もそうですけど、最近は全日本プロレスが敵なのか味方なのか、わからなくなっているのは正直残念です」

――清野さんが最も印象に残った試合というのは?

「個人的には、永田裕志-田中将斗がベストでしたね。休憩前の試合でしたが、あの日ドームの客席を瞬間的に最も沸かせたのは、永田さんが腕固めの体勢に入って白眼になった瞬間だと思うんですよね。“おぉ、キター!”っていう感じでドッと沸きましたから。いいか悪いかは別にして、目の動きであれだけの人を沸かせられるというのはスゴイですよね!

ドームのプロレスって、客席からオーロラビジョンを観ようか、それともリングを観ようか迷うことが多いと思うんですけど、あの時ばかりはみんなオーロラビジョンに注目ですからね。ドームという会場をうまく使っていると言うか・・・。

それに永田さんは、去年はカート・アングルと、一昨年は鈴木みのると、その前は村上和成と、実はメインじゃないけど、毎年シングルで名勝負を連発している“真・ドーム男”ですよね」

――第一回目からドーム興行を全て観てこられた清野さんですが、過去のドーム大会と比べて、今年の“1.4”はどのように変わってきたと感じますか?

「ま、僕にとって新日本のドーム大会と言えば、やっぱり猪木さんなんですよ。1回目はメインイベントでショータ・チョチョシビリと試合もしたし、“イチ、ニ、サン、ダーッ!”が生まれたのは2回目のドームだった。国会議員でリングを離れていた時も立会人ということで会場には来て必ず挨拶してましたし、とにかく僕の場合は“ドームでプロレス観てダーッをやんなきゃ!”って感じだったんですよ。

それであの大会場がひとつになれるという。でも、そんな猪木さんも2006年の1.4を最後に姿を見せていないわけで、猪木さん抜きのドーム、何というか“猪木王国”じゃなくてオールキャストで勝負する“レッスルキングダム”という王国が確立されて来たのかな、という気はしています」