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藤原喜明 ロングインタビュー(3)(3ページ目)

藤原喜明インタビュー最終回。その話しは、ゴッチ・ノート、米国で行われた藤原セミナー、格闘技人気を起こしたUFC、ヒクソン・グレイシーに至るまでと多岐に渡った。

執筆者:川頭 広卓

「やっぱり最後は力だよ。だからプロレスラーは面白い」

[写真]カール・ゴッチに習った技術を毎晩ノートに書きとめた藤原による通称“ゴッチ・ノート”。そこには細かく描かれた図解も多い(ジェイク・シャンノン著『Encyclopedia of Scientific WRESTLING』より) (C)kawazu

――それにしても、ノートには関節などこと細かく描いてありますね。

「偶然俺の得意なものが高校で力学と体育だったんだな。でも、1つ覚えれば3つ、4つ分かるんだよね。(原理は)全部同じなんだ」

――では、プロレスという表の舞台があって、その裏側では技術の研鑽を続けられてきた。藤原さんにとって、この2つはどのような位置づけにあったのですか?

「要するに、昔はお客を集める方と、道場と守る方の2つがあった訳だよ。俺らなんかはどっちかっていうと道場の方だけどさ。表にいって綺麗なことをやってお金を貰う。裏では道場を守る。それが絶妙なバランスだったよな」

――現代では“道場を守る”という気概も希薄なものになってきたように感じます。

「そりゃ緊張感もあるよ。道場破りが来る時もあったし、道場やリングでケンカが始まっちゃうことだってあったんだから」

――ケンカは誰が一番多かったんですか?

「ドン荒川さんと栗栖さんだな。あの二人はリング上でもすぐにケンカが始まって、次は俺だな(笑)」

――戦いが終わればノーサイドなんですね。

「信頼関係があるからな。そりゃ、面白いよ。“コイツはお仕事やってんな”って時は身を引くし、やる時はやったし。そんなバランスがよかったよな」

――猪木さんなんかも自分に自信があったのでしょうか?

「そりゃ、そうだろ。不器用だけど、コレ(ハート)があったからな。パキスタンの時も堂々と行く訳だよ。成り行きみたいな、死んだら死んだでしょうがねーよって(笑)。

試合じゃ、グルッと銃持ってるヤツらがリングを囲んでて、俺、そのビデオ持ってんだよ。貰って10年くらい経つけど、おっかなくて観れないんだよな。あの時の恐怖があって。観衆が総立ちになって、軍隊みたいなヤツが銃構えて。ドンってなったら殺されるって思ったよ。“俺は猪木さんを守らなきゃいけない”って思うんだけど、次の瞬間にはシーンってなったんだ」

――神の祈りの話しは本当なのですか?

「本当だよ。本当に勘違いされたんだよ。でも、俺と猪木さんしか知らないような決闘も3、4回あるし。格闘技戦でも(現地で)ガツンとやって日本にきてもらう。そんなパターンがあった」

――その役目は藤原さんではなくて?

「猪木さんがやるって時は、猪木さんがやったしね」

――いずれにせよ、裏で技術を磨くというのは必須だった訳ですね。

「そうだよ。そりゃ、(外国人選手達も)いうこと聞かないだろうよ。“お金出すから日本来てくれ”っていわれても、やる訳ないだろ?

だから、向こうで一緒に練習してクシャってやっておけば、“リングだったら殺される”ってなるでしょ。やっぱり最後は力だよ。だからプロレスラーは面白いんだよ」

――今のプロレスは表面上だけを切り取って、客受けを狙った攻防が実に多く感じます。

「ピョンピョン飛ぶにしても徹底してやればいいんだよ。客はバカじゃないよ。だって、日本には昔から柔道があったり、空手、相撲。色んな格闘技があるんだから騙せないよ」

藤原ファミリー 公式サイト
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