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藤原喜明 ロングインタビュー(2)

藤原喜明インタビュー続編。入門10日でデビューを果たす偉業の裏に隠されたバックボーン。そのファイティングヒストリーからゴッチとの出会い、トレーニング、禁断の道場破りに至るまで――。

執筆者:川頭 広卓

「道場破りと対戦すんのも俺しか残らない」

【インタビュー前号はコチラ

――藤原さんといえば、入門されてからデビューまでが異様に早かったんですよね。

「2日に入門して12日にデビューだもん。しかも第3試合だったかな?」

――10日ですか!? 異例のスピードですよね。入門されてから、実力で周囲を分からせたということですか?

「そんなこと自分でいっちゃダメだろうよ。まあ、そうだけど(笑)」

――先輩相手でも臆することなく挑んでいったということですね。

「練習はハッキリいって試合より大変だからね。負けたら、どうなるか分からんから。先輩だから普段は“ハイ、ハイ”っていってるけど、練習になればギロって睨んで“なに、ボケ”って感じでさ。でも楽しかったよな。練習が終わったらドンチャン騒ぎよ。

で、(違う写真を見せてくれて)これはアリ戦の時だな。試合前に俺もスパーをやらされて、相手は日本人のヘビー級チャンピオンなのに、その鼻っ柱に(組長の)ジャブが入ってんのな」

[写真]猪木-アリ戦時に行われた藤原喜明のボクシング・スパー。ちなみに、組長はデビュー前から写真やその活躍を報じた記事を綺麗にファイリングしている。今となってはどれも貴重な一枚だ (C)kawazu

――アリのジムに誘われたのは、この時ですか?

「そうだな。29歳の時だったな。俺、ボクシングやったのなんか初めてだよ。でも、猪木さんから“ボクシングやれ”っていうからさ」

――藤原さんは、手も長いし、足も長い。

「ボクサー体型だったよな」

――で、こちらの写真は顔が腫れてますけど。

「これは他流試合の時だな」

――道場破りですか?

「ハイキックを喰らってな。小鉄さんがレフェリーやってて、相手が参ったっていうから一回離したんだよ。そしたら、向こうが蹴ってきやがって、それで頭にきちゃって“ぶっ殺すぞ”っていったら周りに止められたんだよ。チャンチャン(笑)」

――当時の道場破りは、どのくらいの頻度だったのですか?

「結構あったよ。プロレス始めて4年くらいの時だったから、27、28歳の時だな。(道場破りが来ると)周りのヤツらが道場からいなくなっちゃうのよ。さっきまで居たのに、腹が痛いとかってさ。だから道場破りと対戦すんのも俺しか残らないんだよ(笑)」
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