猪木酒場の良し悪し
この日(土曜)は予約も含め、19時と早い段階でほぼ満席。我々が案内されたのはカウンター席で、目の前にはオリジナル焼酎「燃える闘魂」、「道」が並ぶ。通しで出てきたポップコーンを口に放りながらメニューを見ていると、“シャカシャカ 1・2・3・サラダーッ!!”を注文した他の客席から、店員と共に「1・2・3・サラダーッ!!」と叫ぶ声が度々聞こえてきた。余談だがプロレス居酒屋では、かつて明大前(東京都世田谷区松原)に梵婆家(ボンバイエ)という店があった。今はないようだが、スタッフのプロレス観戦日には突然休みになることも多く、せっかく行っても3回に1回は休みでガッカリした記憶が残っている。
ここのメニューもアルコール度数が高いチョークスリーパーという酒や、ヴォルク・ハン(飯)といった趣向を凝らしたものが多く、この手のネーミングではその先駆けとなったように思えたが、店内の雰囲気はお世辞にも明るいとは言えず、当然「1・2・3・サラダーッ!!」に代表されるプロレス的なノリ以外にも、客と定員のコミュニケーションはほとんどなかった(常連客は違っただろうが・・・)。
それでも何度か通ったのは、モニターに流れているプロレスの試合を観ながら飲む酒は格別であることに変わりはなく、料理もなかなかの味だったからではなかったか――。
話を戻そう。猪木酒場では梵婆家に拍車を掛け、またオフィシャルという強みもあり、「この道を行けばパストラミ」、「四角いリングのバトルロイヤル」、「異種格闘技サンド」といった凄まじいネーミングの料理が多く、ドリンクメニューもかなりのバリエーションを誇る。海外ビールにワイン、スパークリングワイン、果実酒、焼酎、日本酒、ウイスキーは当たり前・・・、ノンアルコールでもカクテルやスムージー、意味深なブラジル珈琲、ティーまで多種多様、お酒がダメという方でも楽しめる筈だ。
店の奥には、パチンコイノキホールや闘魂旅館といった独創的な個室もあり、一つ一つその作りは非常に細かい。総じて料金設定も値ごろだ。400~700円のフードメニューが中心で、スパゲティやハンバーグなどはサイズも選べるが、基本量が多いので、団体や学生客は安い単価で腹一杯かつ楽しめるといった気軽に通える利点があるのだろう。
しかしながら料理の質にはムラもあり、上記に掲載したハンバーグステーキは焦げ目の苦味が強く、うずまきウインナーのコブラ・ツイストは食感に欠けるもの。スパゲティも、ごく普通の味といっては失礼だが、“割安系ファミレスのそれと同じイメージ”と評するのが妥当という感想を持った。
それでも猪木酒場が値段や場所、話題性という部分で必ずおさえておきたい店の一つであることに違いはない。背もたれのない席が多いので長居は難しいかもしれないが、立ち寄り的に軽く飲んで帰る、もしくは、独創的な個室を予約すれば、盛り上がりを欲する一次会での利用にはもってこいという訳だ。
二人で立ち寄り、サラダの注文と共に「1・2・3・サラダーッ!!」と叫ばなければならないのは難点と言わざるを得ないが、それも含めての猪木酒場。一度は行けよ、行けばわかるさ――。
噂のアントニオ猪木酒場 新宿店データ
住所:東京都新宿区新宿5-17-13 新宿OWビル7FTEL:03-5155-7680
営業:17時~翌5時
定休日:なし
◇関連リンク
アントニオ猪木インタビュー
アントニオ猪木酒場 公式サイト
ジー・コミュニケーショングループ コーポレートサイト