ハッスラーを育成するプロ要請学校設立へ
ガイド:さて、ハッスルはDSEから独立して、ハッスルエンターテインメントとして出発するのですが、当然、独立採算を目指す上で、これまでのハッスルではコストパフォーマンスはもちろん、実際の制作コストも高いと思います。今後、何か施策を考えていますか?山口社長:ハッスルでは、通常のプロレスでは掛からないコストが多々あります。演出費や、ギャランティなんかは他団体より全然掛かっていると思いますから、ゲート(チケット)収入だけじゃなく、それ以外のビジネスモデルを作る必要があります。それはこれまで3年間やってきて、下地はできていますので、これからそれをどこまで大きく伸ばしていけるか。それと同時に、いままでのDSE体制の中ではPRIDEと兼任してやってたから手を付けられなかった部分もたくさんある。まだビジネスになるところはたくさんありますね。
ガイド:当然、テレビの放映は重要になってくる訳ですよね?
山口社長:地上波放映は必須でしょうね。前向きに交渉中で、手ごたえは掴んでます。
ガイド:昨年のフジテレビによるPRIDE放送撤退問題は、ハッスルへの余波も大きかったと思います。
山口社長:去年の『ハッスル・エイド』は全国放送も決まっていたんですが、その問題の余波をモロに被って中止になった。そのあと、THKさんのレギュラー放送もその流れで切られた。だから去年の6月からの1年は本当に苦しい時期でしたね。経費も削減しなければならないし、テレビがあるのとないのとでは情報の発信力も違いますから、チケットの売れ行きだって違います。ここ1年は正直、よく持ちこたえられたなぁという思いも正直ありますね。
ガイド:察するに余りあるご苦労があったと思います。
山口社長:いや、ボクはそうでもないですよ(キッパリ)。
ガイド:え!?
山口社長:苦労っていうことでいえばDSEの人たちのほうが全然大きいですよ(笑)。今まではDSEという傘の下で動いていたからできたことも多い。でも、これからは独立して我々でやっていかなければならないので、むしろこれからの方が大変でしょうね。
ガイド:DSEから独立して、ハッスルの方には若い社員の方も多く集まっています。今後は人材の管理もされていくと思いますが、現在、社内の雰囲気はどんな感じでしょうか?
山口社長:皆、本当によく働いてくれていると思いますよ。体力勝負っていうところもあって、こういう仕事って若い時にしか力を発揮できないというところもありますけど、新生PRIDEとハッスルのスタッフは完全に分かれたので人数は少ない。そんな中で、みんな明るく楽しく激しくボロボロになって働いてくれてます(笑)。
ガイド:現在は何人くらいで運営されているんですか?
山口社長:新入社員を入れて10数名ですかね。
ガイド:人材という部分では、今後はレスラーも要請していくという話が出ていました。
山口社長:はい、ゆくゆくはハッスル学校みたいなことはやりたいですよね。吉本さんのNSC(吉本総合芸能学院)を手本に、プロになりたい人からはお金を取る。週に何日か通って、プロレスの技術だけでなく演劇指導や社会勉強も含めたハッスラーになるためのカリキュラムを作りたいんですよ。本当の意味でのプロ要請学校。NSCでも第1期の卒業生がダウンタウンですし、そういうところで芸人さんの裾野を広げていきましたからね。我々も(プロレス界の)特殊なイニシエーションがない中で、しっかりした技術やハートを学べる場所を作りたいですね。
ガイド:開設の時期に関しては?
山口社長:来年の4月くらいに始められたらいいですね。強くなるだけではなく、社会に対しての礼節や、基礎。心理学やスポーツ学なども学べるようにしたいですよね。
ガイド:心理学ですか?
山口社長:プロレスって極論すると心理学ですからね。相手の選手や観客との心理戦だったり。相手の気持ちが読めないといいプロレスはできないですから。会話と一緒で、相手の話を聞かないで、自分の話ばかりしていても、誰も聞いてくれない。どっちかが一方的にしゃべってる会話を周りで聞いていても面白くないでしょう。テンポよくスイングしてる会話は周りで聞いてる人をも引き込む力を生み出す。プロレスも一緒ですよ。あと、選手を特殊なイニシエーションなしの世界で育てていくのもそうですけど、プロレスって、ファンになるにも特殊なイニシエーションを通過しなければならないじゃないですか(笑)。もっとプロレスを知らない人でも、特殊なイニシエーション受けずに入れる世界にしたいですね。