高山善廣の参戦等、盛り上がるをみせるZERO1-MAXのリング。それでも中村氏が現状を満足することは決してない
「今後、プロ意識ない選手を雇っていく余裕はない」

ZERO1-MAXを主催する株式会社ファーストオンステージ代表であり、世界初のプロレス連盟・GPWA(グローバル・レスリング連盟)〔※1〕事務局長を務める中村祥之氏は、語気鋭くいい放つ。

今年で業界歴20年になる中村氏は、決して盛況とはいえないプロレス界の現状に警笛を鳴らしながらも、改めて成り上がろうとするハングリーな選手が大勢いることに気付いたという。それはプロレス連盟GPWAが発足したことによる副産物でもあった。いい時代も悪い時代も体感してきた業界の重鎮にZERO1-MAXが抱える現状の課題から、表には見えにくいGPWAの動きに至るまでじっくり話を聞くことができた。今回はそのロングインタビュー前編。

情報の伝達、巡業という仕組み、ハングリー精神、プロ意識、競争の原理……。そこには、プロレス界復興に必要なキーワードがいくつも散りばめられていた。

メディアとプロレス、変わり行く興行形態

ガイド:高山(善廣)選手の参戦やジュニア戦線の盛り上がりと、今年に入ってからもZERO1-MAXは話題に事欠かないのですが、実際に主催者として手ごたえはいかがなものでしょうか?

中村氏:僕もプロレス界に20年。10年前だったら、3ヶ月くらいで話題になっていたものが、今は半年から1年くらいかかりますよね。話題があっても情報の伝達ができないんですよ。

ガイド:具体的にはどういうことですか?

中村氏:昔のプロレスは全日本(プロレス)、新日本(プロレス)しかなかった訳だから、新聞も雑誌もテレビもこの2社を追いかけていけばよかった。でも、今は地上波での放送はノアさんと新日本さんだけだし、メディアに出していく環境も悪いから、思ったほど(話題が)波及しないんですよね。

ガイド:確かに団体も情報も溢れ返っていますから、ファンへ効果的に情報が届いているかといわれると難しいかもしれません。

中村氏:要は(情報伝達する時間が)長くかかる。長くかかると、その間に(イベントが)消化してしまいその効果が持続しない。とにかくスピードが早いんですよね。

ガイド:情報が伝達していく速度に対し、消化されるスピードは早いと。

中村氏:パッと上がると、パッと落ちる。定期的に話題を振りまいて、高いレベルで維持していくのは正直辛いですよ。

ガイド:ただ、外国人選手の充実であったり、女子プロレス(プロレスリングSUN)〔※2〕を持っていたりと、ZERO1-MAXが他団体に比べて長けている部分もあります。まだ、ポテンシャルが発揮できてないというのもあるのではないですか?

中村氏:それらを集約していく場がないというのもありますよね。例えばプロレスならシリーズというのがありますが、今(各団体の)興行を見ていると週末主義っていって、金・土・日にやって、月・火・水は休んでしまう。そうすると、外国人選手を呼ぶ場合は「週にいくら」っていうのが基本でなので「2週間日本に滞在していくら」みたいなベースがある訳なんです。ウィークデーにもホテル、食事と経費がかかるし、滞在期間が3週間にもなると「長い」ってなる。最近は大体(外人選手の日本滞在期間の目安が)10日~2週間くらいかな。それがうちの現状だと、その期間中では5・6試合しか組めない訳ですよ。試合数も少ないし、集約してみせれないから、全てが中途半端になってしまう。

ガイド:それが一番怖いですね

中村氏:そうなんです。だから、思い切って使う時と使わない時を分ける。だから、このイベントって決めたら、それに合わせるとかっていう使い方になっちゃうんですよ。連続したシリーズの流れで、最終戦にドンっていうやり方は、昔は伝わったんですけどね。シリーズの集約が日本武道館とか……。それが今のメディアの現状だと、最終戦が行われる東京とか大阪の都市の人たちに(これまでのシリーズの流れを)伝えることができない。

ガイド:昔は長いシリーズも多かったですからね。1~2ヶ月を通じてドラマや話題が生まれていましたし。

中村氏:唯一伝わるとすれば、自分でネットを開く人。でも、それは既存のファンじゃないですか?一般の人には全く伝わらないのはキツいですよね。

ガイド:実際、ZERO1-MAXが持っているポテンシャルは、現在どのくらい発揮できていると思いますか?

中村氏:自分のできることはいつも精一杯やっているんですよ。でも、環境が追いついてこないのか、巡業というシステム自体を見直す時期にきているのか……。去年の10月・11月くらいに、ZERO1-MAXではこれまで長い巡業をやったことがなかったので、思い切って1ヶ月で20試合の巡業を組んでみたんです。

ガイド:試験的な意味合いも含めて?

中村氏:そうですね。そしたら、うちには向いてなかった(笑)。

ガイド:それは採算とか?

中村氏:採算もそうですし、ケガ人も続出して、うちのプロレスに向いていないというのもありますよね。

ガイド:なるほど。そういう理由もあるのですね。

中村氏:なので5試合くらいの短いシリーズに絞っていこうと。ただ、そうなると余剰人員を抱えている必要性がなくなっちゃうんですよね。だから、今年からはある程度ハードルを設けて、プロとして活動していける選手のみを残し、その中で可能な限り若い選手も育てる。厳しいことをいうかもしれないけど、団体でいえば、今年の春以降、団体の専属ではなくなる選手も増えてくる。当然、従業員も減らすというか減らした。今のが最低限。これで年間80試合くらいできるのはうちくらいじゃないかな。