蔓延するドーピングの問題は深刻を極めた・・・

リングドクターとしてお馴染み、綱川先生に話を聞いた。ちなみに、その白衣は格闘技アパレルブランドとして人気急上昇、リバーサル(reversal)のものだった!?
言わずもがな、この業界だけに限った話ではないが、プロレス&格闘技界に蔓延するドーピングの問題は深刻を極めた。

ドーピングとは、「スポーツ選手が運動能力を高めるため、禁じられた薬物を用いること。(三省堂 国語辞典 大辞林第二版より)」で、その最たるものがアナボリックステロイド(筋肉増強剤)の使用と言える。

オリンピックでは、毎回と言っていいほど「ドーピングによりメダル剥奪」なんていう残念なニュースを目にするも、昨今の格闘技界でも同様の事態が続出。試合後の薬物検査で選手のドーピングが発覚し、せっかく闘った試合が没収試合となったり、主催者もしくはコミッションから罰金の支払いや出場停止が言い渡されるケースが後を絶たない。

しかし、プロレス界に至っては、尚深刻だ。往年の名選手のみならず、現役バリバリの選手が40歳やそこらで急死をするなど、事態の悪化は著しく、もちろん、その要因にはアナボリックステロイドの副作用が大きく関係している。

記憶に新しいのは、アメリカWWEのトップ選手として活躍したエディ・ゲレロやクリス・ベノワの事件だろう。エディは2005年11月に動脈硬化性疾患により滞在先のホテルで帰らぬ人となり、ベノワは2007年6月に悲惨な事件の末に自らその命を絶った。

ベノワの事件を特例のものとしても、今月13日に43歳の若さで亡くなったブライアン・アダムスもしかり、これほどまでプロレスラーに多く見られる急死。ギャラの高騰や、厳しい生存競争の影に潜み、命を犠牲にしてまで頼らざるを得ない悲しい現実を目の当たりにして、我々はアナボリックステロイドをどれほど理解しているのだろうか?

今回話を伺ったのは、修斗、PRIDE、HERO'S、ZSTといった国内主要格闘技イベントから、新日本プロレスやWWE(日本ツアー)といったプロレスイベントに至るまで、幅広くリングドクターを務める傍ら、ご自身でも選手として格闘技を実践されてきた綱川慎一郎先生だ。実際の医療現場では治療にも使用されているアナボリックステロイドの基礎知識から、恐るべき副作用、更には一般的なドーピング検査のことまで、その内容は多岐に渡った。

■綱川慎一郎/多摩脳神経外科 副医院長
日本整形外科学会専門医
日本体育協会公認スポーツドクター(日本レスリング協会)
日本医師会公認スポーツ健康医