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ゆでたまご嶋田先生が語るキン肉マン2(3ページ目)

ゆでたまご・嶋田隆司先生へのインタビュー続編。第2回では、『キン肉マン』人気になくてはならない無数の登場人物や、これらを生み出した嶋田先生の嗅覚と感性に迫る。

執筆者:川頭 広卓

「普通の人の顔が描きたい」

嶋田先生から語られる当時の思い。ひとつひとつ心にしみるように響いてくる
ガイド:ちなみに、先生が客観的にキン肉マンを見て、一番好きな超人は?

嶋田先生:僕はですね、ラーメンマンです。ちなみに、うちの相棒はテリーマン。

ガイド:中井先生は、博識のテリーマンファンですか!

嶋田先生:テリーマンって、一番人間に近いじゃないですか。だから漫画家として描き甲斐があるみたいですよ。異形なもんばっかり描いてるから「普通の人の顔が描きたい」って。

ガイド:先生がラーメンマンを好きな理由というのは?

嶋田先生:単純なところで子供でも落書きしやすいですから。考えてみたら変なキャラクターですけどね。三つ編みのドジョウ髭で……。でもカッコイイんですよ。

ガイド:ラーメンマンとウォーズマンはよく落書きしましたね~。

嶋田先生:コンセプトというのは、やっぱり子供に描きやすいということなんです。僕らの小さい時も、ニャロメ(赤塚不二夫作)とかをみんな描いてましたからね。

ガイド:先生が一番好きな技はなんでしょうか?私はバックドロップだと思っていました。ミート君がミキサー大帝に決めたシーンは、先生の本音が作品に投影された部分だったのではと感じましたから。

嶋田先生:あ~、なるほどね。好きな技というのは実在の?作品中の?

ガイド:全て含めてですね。

嶋田先生:それは、やっぱりキン肉バスターですよ!綺麗!

ガイド:後にキン肉バスターが様々なバリエーションに変化するのは圧巻でした。

嶋田先生:変形は色々考えたんですよ。まだまだあると思いましたね。

ガイド:それでも、最初にキン肉バスター自体、なかなか思い浮かばないですよ!

嶋田先生:二人で技を掛け合ったりしましたね。プロレスとか格闘技をずっと見てたからか、突然パッと浮かんでくるんですよ。持ち上げて、ここで足とったらどうなるかなって。

ガイド:そこでのこだわりというのは?

嶋田先生:出来そうな技を考えるんですよ。なんか宇宙まで吹っ飛ばすとか、そういうことではないんですよ。

ガイド:確かに出来そうですよ。学校のプールとかでやってましたしね。

嶋田先生:出来そうで出来ない技。それを考えるのが難しいんです。

パロスペシャル誕生秘話

ガイド:ウォーズマンのパロスペシャルは、教室でみんなやってましたよね。あれはもともと、イギリスの“なんとかパロ”って人の技なんですよね?

嶋田先生:それは2代目の担当編集者に聞きましたね。「ジャッキー・パロっていう選手が使う、パロスペシャルっていう技がある」って。それで(実際に)技をかけてもらったのが今(作品中)のパロスペシャルなんですけど、4年くらい前に『レディースゴング』の編集者から電話があったんです。「実はパロスペシャルって、形が違うんですよ。本当のパロスペシャルっの写真を送るから」って。

ガイド:それが……

嶋田先生:オラップ(キン肉マンII世、ケビンマスクの必殺技)なんですよ。ちょっとは似てるんですけど、全然違う技だったという……。

ガイド:でも、世の成人男性の誰に聞いても、パロスペシャルはウォーズマンのパロスペシャルを思い出しますよ。キン肉マンには事実をも変えてしまうパワーとエネルギーがあったんですね。

嶋田先生:本当ですね。ウォーズマン(旧ソ連)の技で、何故パロスペシャル(イギリスの技)なのかってね。当時の読者も不思議だったと思いますよ。

ガイド:しかし、ウォーズマンにパロスペシャルを授けたのもバラクーダ(ロビンマスク=イギリス)ですから、ルーツを辿るとおかしくない!

嶋田先生:ああっ、本当だ(笑)それは考えたことがなかった。しかし、普通だったら「ウォーズマンスペシャル」とかって技名にするんでしょうけど、“パロスペシャル”っていう語感がいいなぁ~って、そのままにしました。やっぱり、全てがその場の思いつきなんですよ(笑)

次回に続く)
注1:1984年、江崎グリコと森永製菓など大手食品会社が「かい人21面相」と称する人物から脅迫を受けた事件。青酸ソーダ入りのお菓子が見つかるなど、世を震撼させた。未だ犯人は捕まっていない。2000年に時効。


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