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WWEスーパースターに聞く 日本マット界人気復興のキーワード(2ページ目)

昨年7月以来の来日となるWWEスーパースターの目に、現在の日本マット界はどのように映っているのだろうか?限られたメディアのみが許される選手への個別インタビューの際に、疑問をぶつけてみた。

執筆者:川頭 広卓

WWEから見る日本のマット界

WWE唯一の日本人となったフナキ。長きに渡り世界最高峰の舞台で活躍を続ける(クリックすると拡大されます)
そんな最中、昨年7月以来の来日となるWWEスーパースターの目に、現在の日本マット界はどのように映っているのだろうか?公演前日、限られたメディアのみが許される選手への個別インタビューの際に数分という短い時間の中、何人かの選手に疑問をぶつけてみた。

日本にも馴染みが深く、かつては新日本プロレスのリングでペガサス・キッド、ワイルドペガサスのリングネームで活躍したクリス・ベノワはインタビューの冒頭でこそ「WWEが日本に来ることによって、いいファイトといいサービスをして日本のプロレス界を盛り上げていきたい」と“模範的”かつ“ある程度は予想していた”返答をくれたが、話を核心へと進めていくと「日本のマット界では昔から“強いプロレス”をやってきたのだから、それを守っていくべきだと思う」と自分の言葉で本音を語ってくれた。

そして、やはり一番気になるのは、TAJIRIが退団し、WWE唯一の日本人となったフナキの声。長きに渡り世界最高峰の舞台で活躍を続ける日本人メジャーリーガーは、エンターテインメント志向へと偏りをみせる昨今の日本マット界に警笛を鳴らす。

「具体的に、実際見たことがないので、どこまでどういうことをしているのか、分からないのですが、こっちのWWEはエンターテインメントスポーツといっても、レスリングで魅せてますから、それを日本がどう捉えているかですよね」

この二人に共通するのは、日本マット界ではハード面ばかりの整備が進み、肝心な試合(レスリング)がないがしろにされているのではないかという懸念。

確かに、大手メジャー団体の度重なる興行苦戦を目の当たりにすると、もはやレスリングクオリティのみに要因があるとはいえないが、それでも、これが重要な要素であることに変わりはない。時代風潮に迎合するのも、エンターテインメントの要素を取り入れることも必要。それでも、プロレスがプロレスである以上、リング上での試合が全ての評価であることを忘れてはならない。

最近当然の様に行われるマイクアピール一つにしても、盛り上がりに欠けた試合を補足するようなシチュエーションも多く、メインイベント終了後も誰かがマイクで喋って大会を締めなければ、プログラムが終了したのかさえ理解できないような説得力に欠ける興行も多い。

中には、マット・ハーディーのように「今イタリアを中心としたヨーロッパでWWEは大変人気が出てきた。日本の人気を取り戻したいのであれば、アメリカのプロレスを見てもらえればいいと思う。俺らが世界規模でプロレスを盛り上げる」と、頼もしいほどに熱く語る選手もいたがやはり日本人である以上、日本マット界の復興を願いたい。

今回のWWE日本公演では熱心なWWEファンも多数駆けつけ、その根強い人気を証明した格好となった。現在は年2回予定されているWWEの日本公演。もちろん、WWEがベストな選択という訳ではないにしても、マットがいうように、日本ではなく世界のプロレスへと目を向けることがプロレス人気回復に必要なのか?

いずれにせよ、WWEが日本を重要なマーケットの一つとして捉えている以上、その脅威が日本マット界に更なる競争を生み出し、人気復興の足がかりとなることを期待したい。

最後に余談を一つ。日本へ初来日を果たしたディーバのメリーナ。日本の“プロレス不景気”自体、初耳とのことではあったが、予備知識もない中、さすがにWWEのディーバを務めるだけあって、当たり障りがなく、それでいてディーバらしい返答が返ってきた。

「多分、人気にも波があって、今は下線にいるだけじゃないかしら。今回WWEが来たから、きっとまた人気が上向いていくわ」と。
<補足>WWEとは?

Vincent McMahonによって設立され、20年以上もの間、スポーツエンターテインメント業界トップに君臨する世界最大のプロレス団体。World Wrestling Entertainment,Inc.の主な事業は、ライブ・TVエンターテインメントによるイベントやPPV(ペイパービュー)と、WWE商品のライセンシング、グッズ・マガジン・ビデオのセールスとなる。

ライブイベントは、カナダ、ヨーロッパ、アジア、オーストラリアの各地で年間300件以上行われ150万人以上のファンを動員。PPVは100ヶ国以上の国で視聴されている。

<関連リンク>
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